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【#BJMA】2014年ビルボードジャパン・チャート解析/鈴木daichi秀行

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【BJMA】特集


多様化する音楽の聴き方に対する新しいチャートの必要性


2014年ビルボードジャパン・チャート解析/鈴木“Daichi”秀行
▲鈴木daichi秀行 StudioCubicにて

 音楽の聞き方、楽しみ方が変わりCDやラジカセからiPod等のポータブルプレイヤー、スマートフォン、PC等で聴く人が多くなっていると思います。その流れで高価なヘッドフォンやイヤフォン市場が活況になっていたり、僕自身普段音楽を聴くのはPCが多いですし、ゆっくり楽しみたい場合はアナログレコードで聴いたりする場合もあります。

 一方でハイレゾ音源も最近注目されてきており、CDを超える音質のデータで僕たち作り手側が制作しながら実際に聴いている本当の音を圧縮しないまま聴く事も出来ます。日本ではまだ本格的ではありませんが定額ストリーミングサービスも世界的に広がりを見せていますね。

 音楽がより身近になり楽しみ方も自由になって来たという事だと思いますし、聴き方の選択肢が広がりユーザーの環境に合わせた形での音源が用意されるべきだと思います。

 その中でひとつの指針であるチャートの主流が現在もまだ、CD売り上げチャートという事には少し違和感を感じます。音楽プロデューサーという仕事柄、リリースされた作品の結果としてチャート動向は気になりますし、ひとつの成果として受け取ります。

 音楽好きでより多くの楽曲を聴いて楽しみたいと思っている人程、手軽に楽しめるダウンロード販売や定額サービスは魅力的でしょうし、聴きたいと思った時にワンクリックですぐ聴けるというのは一度体験してしまうとなかなか戻れないと思います。音質に拘る方はハイレゾ版をダウンロードすれば良いわけですし。

 またSNSの普及で誰でも情報発信出来る時代になり、口コミというリアル世界の小さなコミュニティがネットの世界に飛び出して、今現在聴いている楽曲をリアルタイムに表示する連携サービスなどもありますし、YOUTUBEのリンクを張り自分の好きな楽曲をSNS上の友達におススメ出来ますし、その情報を見て今まで知らなかった音楽と出会うという新しい広がり方の流れも見られます。

2014年ビルボードジャパン・チャート解析/鈴木“Daichi”秀行
▲鈴木daichi秀行 StudioCubicにて

 音楽との接し方が多様化する中で、今の時代のチャートというものも求められていると思います。ユーザー側は新しいアーティストや音楽を見つけるという意味でもチャートは参考になると思いますし、総合チャートという形であればCD販売に弱いがダウンロードや口コミでの評判が高いアーティストの名前が、表に出るきっかけやチャンスにもなると思います。

 Billboard JAPANのチャートデータは楽曲毎のチャート動向の流れが比較出来たり、売れ方や口コミの広がりの流れをチェックしたり出来るので面白いですね。初動型から数ヶ月に渡ってじわじわ順位が上がって来る楽曲など詳しく見る事が出来ます。これは音楽業界の人にとっても貴重な資料になると思います。

 今後も新しいサービスが出て来ると思いますし、それに対応したチャートの形が求められると思います。


BJMA2014


プロフィール写真

鈴木“Daichi”秀行  バンドConeyIslandJellyFishのメンバーとしてデビュー。近年はサウンドプロデューサーとして、バンドからシンガーソングライター、アイドルまで、得意な幅広い音楽性を生かし活動する傍ら、新たな才能を求め新人発掘、育成などにも力を入れている。

プロデュース、アレンジ
miwa、YUI、絢香、家入レオ、いきものがかり、LiSA、モーニング娘。、Smap、平井堅、ダイスケ、山下智久、FTISLAND、etc

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