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「グラミー賞は僕にとってすべてで、とても幼い頃から夢見てきたこと」― 主要4部門全てノミネート!サム・スミス 最新インタビュー
現地時間12月5日に発表された【第57回グラミー賞】のノミネート作品。ビヨンセ、ファレル・ウィリアムスに並び、最多の6部門にノミネートされ、その内の4つが主要部門という快挙を成し遂げたのが、ロンドン出身の現在22歳のシンガー・ソングライター、サム・スミスだ。2012年にディスクロージャーの「Latch」にフィーチャーされ一躍注目を浴び、翌年ノーティ・ボーイと共作し、ヴォーカリストとしても参加した「La La La」で全英1位に。今年2月に全英リリースされた自身のシングル「Money on My Mind」、続く「Stay With Me」でも全英1位を記録、5月に満を持して発表した待望のデビュー・アルバムは、全英1位、全米2位という新人としては異例の記録を打ち立てた。ソングライターとしての実力はもちろん、聴き手を一瞬で惹きつけるその深みある、力強いヴォーカルで、レディー・ガガ、テイラー・スウィフト、ロードなど業界内にも多くのファンを持つ彼を、【第57回グラミー賞】ノミネート作品が発表される直前にキャッチ!グラミーへの想い、アルバム・フォーマットへのこだわり、そして今年のハイライトについて語ってもらった。
グラミー賞は僕にとってすべてで、とても幼い頃から夢見てきたこと
??(現地時間にて)金曜日の朝にグラミー賞のノミネート作の発表された際の、心構えについて周りの人々に諭されてますか?
サム・スミス:そうだね、最近よく言われることだけれど、誰かが話題にしたら、「この話はしなくてもいい?」って答えてる。考えられないんだよね。グラミー賞は僕にとってすべてで、とても幼い頃から夢見てきたことなんだ。みんながその話をし始めると、ユーモアのセンスを忘れてしまう。なぜなら、僕自身がとても重んじていることだから。もし、何かが起こって…また出席できれば、嬉しいよ。
??【アメリカン・ミュージック・アワーズ】では、MVPのような存在でしたよね。単に受賞し、パフォーマンスしただけではなく、メアリー・J.ブライジのニュー・シングル「Therapy」にも参加していて。最近では、忙しくて他のアーティストの為に曲を書く時間もあまりないと思いますが、彼女のような人物から一緒に仕事がしたいと連絡があれば、真剣に受け止めますよね。
サム:もちろん。その点は、とても気を使っている。僕自身、第一にソングライターで、自分の曲を書く時は、自分のことを考えている。曲を作ってる時に、「これはリアーナにピッタリだ。」なんて思わないし、そんな風に考えるのも嫌だ。言うまでもないけど、メアリー・J.ブライジは、僕に大きな影響を与えた人物であって、彼女のことは敬愛している。機会が与えられたら、どんな時でも飛びついていたと思うけれど、今回はとてもアメイジングな風に物事が進んだ。一緒に仕事をする前に、彼女と知り合いになれるところだった。彼女が【アメリカン・ミュージック・アワーズ】で歌った「Therapy」は、自分のアルバムのために書いた曲だった。ところが、彼女が曲を聴くと、曲と恋に落ち、曲を歌ってくれたんだ。実際に2日間の休みを取って、曲作りをする為にスタジオに入った(「Therapy」以外にも、メアリーのアルバム『ザ・ロンドン・セッションズ』収録曲の3曲をサムは共作している)。自分のエモーションを惜しみなくつぎ込んだ気がするし、メアリーが友人になったと口に出して言うのが、とても不思議な気分。彼女が【アメリカン・ミュージック・アワーズ】であの曲を演奏するのを観て、とても誇らしい気持ちになった。すごくリアルなパフォーマンスで、すべて生で演奏されていた。彼女がどんなアーティストなのかを、表すようなステージだったと思うよ。
▲ 「I’m Not the Only One ft. A$AP ROCKY」(Live on 2014 American Music Awards)
??もちろんサムも、彼女を同じぐらい注目を集めましたよね。最小限の伴奏とともに生でパフォーマンスを披露して。数か月前の【MTVヴィデオ・ミュージック・アワーズ】では、そのコントラストがよりはっきりとしていました。振り付けが大がかりなパフォーマンスが多い中、自分のパフォーマンスが繊細すぎて印象に残らないのでは、とは思いませんでしたか?
サム:うん、すごくね。ステージに上がったら、誰もがありったけの感情を込めて歌うぺきだと、僕は思うんだよね。ベスト・パフォーマンスを引き出すために、色々クレイジーな演出をすることが必要だとは思わない。そのコントラストに気づいてくれるのは素晴らしいことだと思うし、そのおかげで僕は注目を浴びているから、アメイジングなことに対して愚痴をこぼしてるみたいだけど。でも同時に、ポップ・カルチャーも大好きなんだ。テイラー・スウィフトが番組のオープニングを飾るのを観たけれど、今まで観た中で一番素晴らしい光景だった。だから、ここに座って不平を言っているけれど、愛することでもあるんだ―大がかりでクレイジーなパフォーマンスを観ること。だから自分で、自分に対立した意見を述べてるんだよ。
??では、今年のハイライトについて話しましょう。何が印象に残っていますか?
サム:とにかく様々な出来事が起こったから、いくつかに絞るのは難しいけれど、【MTVヴィデオ・ミュージック・アワーズ】はじめとするアワードへの出演、アメリカでアルバムが2位になったこと、マディソン・スクエア・ガーデンをソールドアウトしたこと。僕にとってメインのゴールだったのは…、何か月か前にLAで車に乗っていて、時期は夏で、ラジオで流れている曲はダンス・ソングばかりだった。そんな中「Stay With Me」が、かかったんだ。あの曲が、あれほどラジオで聴かれているのは、とても誇らしい気分だよ。リスナーがあの時期に、曲を受け入れてくれたということ。ラジオ向きの曲ではないからね。今となってはそうだけど、ラジオでヒットするような曲としては特殊だと思う。ゴスペルに影響されているし、夏に聴くようなテンポの曲ではない。だから、そういったことを乗り越えで、様々な場所で流れるようになったことは、とても誇らしいね。
僕の人生すべてを受け入れて欲しい、一部分だけではなくて
??アルバム・リリースにかなり先行して、『Saturday Night Live』に出演するなど、リスクが高い賭けにも出ましたよね。
サム:そうだね。このプロジェクトとしてやったことで、『Saturday Night Live』への出演は、100%一番リスキーなことだったと思う。僕自身、出演するのは間違っているのでは、と感じたけれど、すごく上手くいったと思うし、みんなにも伝わったと思うんだ。
??「Leave Your Lover」のミュージック・ビデオも少しリスキーだと思いましたか?それともやらねばならないと、強く思っていた?
サム:こう、座って「同性愛や自分のセクシャリティについて言及したビデオ作ろう。」とか、考えたわけではなくて、曲を書いていると、そのビデオが自然と浮かんでくる、という感じかな。「Leave Your Lover」のビデオも、曲を書いたその日に考えついたんだ。そのヴィジョンを貫くのはリスクだったけれど、結果的には、そうはならなくて、とてもアメイジングなものになった。あのビデオは、とても誇りに思っているし、気に入ってるんだ。
??では、みんなが引合いに出す統計データについてはどうですか?たとえば、イギリスの男性アーティストにとってアメリカ史上最大のデビューやニールセン・ミュージックによると今年一番売れたアーティストのトップ3に入っていますし、中でも新人としては最大のセールスを記録しています。「え、当たり前じゃん!」と思ったりはしないのですか?
サム:(大笑い)ノー!そんなことはないよ。あまり自分に自信がないんだよ。自分がハッピーだということと、物事がうまく進んでいるのはわかっているけど、それ以外のことには感心がない。微笑んで、受け止めるけど、これはまだ僕にとって始まりにすぎない。最近では、1、2枚アルバムを出しただけで、「自分が世界一のアーティストだ。」と思い込んでしまう人もいる。今はそうかもしれないけど、人々の記憶に残るにはちゃんと仕事をしなければならない、それが今僕がやろうとしていることだよ。
▲ 「Stay With Me ft. Mary J. Blige」(Live)
??リミックスされた楽曲も大きな反響を得たと思います。ロドニー・ジャーキンスは、あなたが自分の曲を聴いていたら、急にメアリー・J.ブライジの歌声がして、驚いていたと言う話をしていましたし、A$APロッキーに関してもそうですよね。リミックスによって、曲の魅力が広がるというアイディアにはオープンでしたか?
サム:意外とね。コラボレーションは大好きなんだ。ロドニーの件は…、「Stay With Me」を書き終えて、スティーブ・フィッツモーリスとともに主にジミー・ネイプスがプロデュースを手掛けたんだけど、あの曲の大半は曲を書いたその日にレコーディングした、いわゆるデモなんだ。ヴォーカルなどをすごくラフにレコーディングしたもので、ほぼデモだってことだね。それをロドニーに渡すと、いくつかの要素を足してくれて、もちろんメアリー・J.ブライジも参加することになった。とても自然な流れだったと言えるね。それって、僕にとってすごく大切なんだ。レーベルからの指示とか、人に計算されたことから生まれるのは嫌だ。それから、曲の色々な面を見せることに惹かれる、なぜなら僕は曲を書く時に、どのジャンルに当てはまるのか考えていないから。「I'm Not the Only One」をジャジーなソウル・ソングだと思うかもしれないけれど、A$APロッキーが参加することでヒップホップ・ソングになる。そうやって人々を驚かせるのが好きなんだ。
??このアルバムから何枚のシングルをリリースすると思いますか?
サム:そうだね、「I'm Not the Only One」の後、まだ1、2曲あると思う。UKでは、シングルは4枚になると思う。みんなに退屈になって欲しくないんだ。それに、自分のアルバムがシングルに出来るような曲ばかりじゃないことを誇りに思ってる、そうしたくなかったから。聴き手を少し考えさせたかった、ハマるのに何週間か、何度か繰り返して聴かなければならない作品を作りたかった。僕らはどこかで音楽の消費者を見くびっている部分があると思うんだよ、彼らのことを実際より馬鹿だと思ってる。いい例として、自分のアルバムに『In the Lonely Hour』というタイトルをつけるために、僕は戦わねばならなかった。少し長すぎたのかもしれないし、悲しげなタイトルだったから…でも僕は戦った。まだアイディアの段階だけど、次のアルバムには、もっと長いタイトルをつけようと思ってる。それを押し通すための口論について、今から少しナーヴァスになってる。「Money on My Mind」のタイトルもそうだよ。かなりネガティヴなものだから、「For the Love」に変えようとしていた。でも、ふざけんな、って感じだったよ。ちゃんとレコードをかけて、詞を聴いて、ネガティヴではなく、ポジティヴなメッセージを与えていることに気づかない馬鹿な連中が数人いたせいで、曲のタイトルを変えるもんか。ゴメン、ちょっと熱くなっちゃって。謝るよ!
??シングルよりもアルバムというフォーマットにこだわっているという点では、テイラー・スウィフトと共通する部分があるようですね。彼女もその考えが普及するように動いているようなので。ポップ・ミュージックを作っている人々にとっては、きわめて稀な重点とも言えますが、目の当たりにすると貴重ですね。
サム:本当に。テイラーとは【アメリカン・ミュージック・アワーズ】で一緒になって、その時に初めて色々じっくりと話すことができた。彼女は素晴らしいアーティストで、本当に尊敬してる。彼女の新作は、コンセプト・アルバムで、僕自身が、買ってから、最初から最後まで聴いた初のテイラーのアルバムでもある。テイラーは正しい事をしたと思うし、ビヨンセも自身のアルバムで同じことをした、アデルに関しても同じことが言える。僕が伝えようとしているキーポイントは、これらはアルバムだっていうこと。人々はアルバムが聴きたいんだ、1つの作品となった音楽がね。僕の人生すべてを受け入れて欲しい、一部分だけではなくて。
Q&A by Chris Willman / 2014年12月4日 Billboard.com掲載
イン・ザ・ロンリー・アワー
2015/01/21 RELEASE
UICC-10015 ¥ 2,420(税込)
Disc01
- 01.マネー・オン・マイ・マインド
- 02.グッド・シング
- 03.ステイ・ウィズ・ミー~そばにいてほしい
- 04.リーヴ・ユア・ラヴァー
- 05.アイム・ノット・ジ・オンリー・ワン
- 06.アイヴ・トールド・ユー・ナウ
- 07.ライク・アイ・キャン
- 08.ライフ・サポート
- 09.ノット・イン・ザット・ウェイ
- 10.レイ・ミー・ダウン
- 11.リスタート (海外デラックス・エディション・ボーナス・トラック)
- 12.ラッチ (アコースティック・ヴァージョン) (海外デラックス・エディション・ボーナス・トラック)
- 13.ラ・ラ・ラ (ノーティ・ボーイ feat.サム・スミス) (海外デラックス・エディション・ボーナス・トラック)
- 14.メイク・イット・トゥ・ミー (海外デラックス・エディション・ボーナス・トラック)
- 15.リマインズ・ミー・オブ・ユー (日本盤ボーナス・トラック)
- 16.ステイ・ウィズ・ミー~そばにいてほしい feat.メアリー・J.ブライジ (ダークチャイルド・ヴァージョン) (日本盤ボーナス・トラック)
- 17.イン・ザ・ロンリー・アワー (アコースティック・ヴァージョン) (日本盤ボーナス・トラック)
- 18.ニルヴァーナ (日本盤ボーナス・トラック)
- 19.セーフ・ウィズ・ミー (日本盤ボーナス・トラック)
- 20.トゥギャザー (サム・スミス×ナイル・ロジャース×ディスクロージャー×ジミー・ネイプス) (日本盤ボーナス・トラック)
- 21.ステイ・ウィズ・ミー~そばにいてほしい (ダークチャイルド・ヴァージョン) (日本盤ボーナス・トラック)
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