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マーク・ジュリアナ 来日記念特集 -Jazz The New Chapter- 冨田ラボ、沼澤尚、菊地成孔からのコメント公開!

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ブラッド・メルドーとのエレクトロニックデュオ、Mehlianaでシーンに衝撃を与えた今最も注目を集める若きドラマー、マーク・ジュリアナ。ブラッド・メルドーに、「ドラミングのエキサイティングなニュースタイルの最前線に立っている」と評されるほど、ユニークで妥協を許さないドラムスタイルで、世界的に高い評価を獲得してきた。そんな“今のジャズ”のキーパーソンともいうべき彼の魅力を、21世紀以降のシーンを網羅した世界初のジャズ本、『Jazz The New Chapter』を監修した柳樂光隆が解説。さらに、マーク・ジュリアナの音楽性、ドラミングに魅せられた冨田ラボ、沼澤尚、菊地成孔からのコメントも公開!

ジャズドラムの新たな表現の一つとして
完全にネクストステップに到達している

「James Brown T.A.M.I Show Performance(1964)」
Avishai Cohen - The ever evolving etude

マーク・ジュリアナを強く意識するようになったのはおそらくイスラエルのベーシスト、アヴィシャイ・コーエンによる2008年作『Gently Disturbed』だろう。若き天才ピアニスト、シャイ・マエストロも含めたピアノトリオによる圧倒的なインプロヴィゼーションが聴ける本作は2000年代屈指のピアノトリオの名盤と言っても過言ではないだろう。でも、僕はこの時点では新たな超絶ドラマーの出現くらいにしか思っていなかった。

「James Brown T.A.M.I Show Performance(1964)」
Donny McCaslin - Alpha and Omega (Boards of Canada cover)

はっきりと異変に気付いたのは、ドニー・マッキャスリンの『Casting For Gravity』あたりだろうか。ここでのボーズ・オブ・カナダのカヴァーに象徴されるようなミニマルで硬質なビートを聴けば、群雄割拠のUSジャズシーンのドラマーの中でも明らかに異質な個性があることは明らかだった。

同年リリースのリオーネル・ルエケ『Heritage』はその個性の違いをあまりにわかりやすく示してくれた好盤だった。全編でマークがドラムを叩いている本作は、ロバート・グラスパーがプロデュースし、デリック・ホッジがベースを務めていることもあり、自然にロバート・グラスパー・エクスペリメントのドラマーとの比較ができてしまうことで、マークのビートがクリス・デイブやマーク・コレンバーグのようなヒップホップ経由のそれとの違いをはっきりと認識することができた。

「James Brown T.A.M.I Show Performance(1964)」
Lionel Loueke - Heritage - Freedom Dance

そんなマークが自身のプロジェクトを発表し、配信限定でいくつかのEPを発表。中でも”BEAT MUSIC”名義でリリースされた音源は、ジャズミュージシャンによるテクノやエレクトロニックミュージックとの関係の可能性の更新どころか、このドラマーの演奏がジャズドラムの新たな表現の一つとして完全にネクストステップに到達していることが確認できた。そして、今年、2014年にはマークは二枚のフルアルバムをリリース。中でも『Beat Music : The Los Angeles Improvisations』での、エレクトロニックに大きく踏み込んだそのサウンドに僕らはさらに驚かされた。

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  2. 人力ドラムンベースやジャジーなテクノとは異次元の
    新たなサウンドを体感することができるはずだ。
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マーク・ジュリアナ ティム・ルフェーヴル ジェフ・バブコ トロイ・ゼイグラー「ビート・ミュージック:ロサンゼルス・インプロヴィゼイションズ」

ビート・ミュージック:ロサンゼルス・インプロヴィゼイションズ

2014/10/02 RELEASE
AGIP-3543 ¥ 2,420(税込)

詳細・購入はこちら

Disc01
  1. 01.This Is Your Chance To Make Things Right
  2. 02.Hunter Thompson Is Watching
  3. 03.The Everywhere Spirit
  4. 04.Flaw & Order
  5. 05.Another Race Record
  6. 06.Bobby Moons
  7. 07.I Create Your Own Future
  8. 08.Faux Humility
  9. 09.Bang Biscuit
  10. 10.A Quote Machine
  11. 11.The Police Are Looking For Bobby Moons
  12. 12.That DeeJay Chick Works At The Bank Now
  13. 13.And Now... We Stare And Nod
  14. 14.Roofing With Biblical Integrity
  15. 15.Dear Earthquakes, Come Home
  16. 16.Bobby Moons Goes To Jail
  17. 17.I Once Had Fun In Hollywood
  18. 18.On Occasion Caucasian
  19. 19.Nice Job!
  20. 20.An Undeniable Letting Go Of Invaluable Necessities That In Which We Cannot Be Without
  21. 21.Did You See That Catch?
  22. 22.Faulty Filter
  23. 23.“Betty, Will You Cancel My 8 o’clock?”
  24. 24.Ode to Bobby Moons
  25. 25.I Listen To Dan Patrick Everyday
  26. 26.Human Highlight Film
  27. 27.Cheer Up Beautiful People
  28. 28.I Don’t Care About The Money, It’s You I Want
  29. 29.My Blood
  30. 30.Cole Whittle

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