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倖田來未『Dance In The Rain』インタビュー

倖田來未 『Dance In The Rain』 インタビュー

 今の倖田來未が一番格好良い。そのことを世に伝える為だけに熱烈オファー/実現した今回のインタビュー。結果的に読み手を感涙/鼓舞させるドキュメンタリーにもなった。読んで何かを感じた人は、ぜひこの倖田來未を世に広めてほしい。“素の倖田來未”が15周年で暴れ回る為にも。

挫折したら倖田來未は終わっちゃうから。傷ついたときこそ……

--今年の夏【KODA KUMI LIVE TOUR 2014 ~Bon Voyage~】の東京国際フォーラムホール公演を観て、個人的には“今の倖田來未が一番格好良い”と……

倖田來未:そう言って頂けて嬉しいです!

--ということを世に伝えたいと思い、今回のインタビューを実現させて頂いたんですが、自分の中では今回のツアーにどんな印象や感想を?

※倖田來未 / Winner Girls (from「Koda Kumi Hall Tour 2014 ~Bon Voyage~」)
※倖田來未 / Winner Girls (from「Koda Kumi Hall Tour 2014 ~Bon Voyage~」)

倖田來未:私の中では、EDMを打ち出すのって今更というか、それこそアメリカのビルボードでは以前からランクインしていたりするでしょ。今回のアルバム『Bon Voyage』ではEDMを意識して例えば「Crank Tha Bass」を入れた訳じゃなくて、あの曲が頭ひとつ抜けてるなと思ったから、良いなと思ったから入れただけで。それでツアーではダンスを今まで以上にクローズアップして、なおかつアーティストとして音をすごく大事にしたかったの。日本人アーティストにはなかなかないような、でも、最先端に行き過ぎてると思わせないレベルで。その上で倖田來未らしいものが出来たかなって。あれこそ倖田來未というか。

--あれこそ倖田來未でしたよね。歌もダンスもあらゆるエンターテイメントも、アスリートばりの鍛練を15年近く続けてきたからこそ到達できる境地。終始「格好良いいなぁ」と思って泣いてました。

倖田來未:ありがとうございます。少し前ぐらいから新しい制作スタッフが入って、そこにはやっぱり新しい角度の意見もたくさんあって。「もっとシンプルでいいんじゃないのか」っていう意見もあったんですけど、例えば映像に関しては、子供たちが来たときも楽しんでもらえるようにおもしろく創ってきたし、緊張するシーンも多いライブだからちょっと心を休めてもらえるような要素も大事にしてて。今回は“Bon Voyage”で旅立ちがテーマだったからファニーな部分も取り入れつつ、アーティスト目線で作り変えたりはしたんですけど、ベースの部分で倖田來未はエンターテイナーだと思うからエンターテインメントからは引けなかったんですよね。

--その結果、歌、ダンス、演出などのエンターテイメントが絶妙なバランスになっていました。

※倖田來未 / LOL (from「Koda Kumi Hall Tour 2014 ~Bon Voyage~」)
※倖田來未 / LOL (from「Koda Kumi Hall Tour 2014 ~Bon Voyage~」)

倖田來未:あと、ライブ全体の尺についても考えて。やっぱり倖田來未のライブは長すぎるから(笑)、今回は意図的に短くしました。短いって言っても2時間以上あるんですけど、今まで本編が2時間以内で終わることがなかったんですよね。

--初見さんが観ても全部楽しんで帰れるライブでしたよね。

倖田來未:そうそう! やっぱりまた倖田のライブに来たいって思ってほしいから。お腹いっぱいじゃなくて「また食べたいな」って思ってもらえるライブ創りを意識しました。

--「新しいリスタート」をテーマにしていたそうですが、そもそもこのタイミングでそれをテーマにしたのは?

倖田來未:MCでも話したんですけど、この14年は楽しいことばかりではなくて、辛いこと、苦しいこともたくさんあったんですね。表には見えないところで、色々なことが起きていたりして…………そういう意味も込めてもう一回スタート。気持ちをリセットすることも大事なのかなと思って「Imagine」って曲が出来ました。すごく挫折しそうなときもあるけど、そこで挫折したら倖田來未は終わっちゃうから。傷ついたときこそ“ラッキー! 上が見えた!”って思うと、もっと頑張れる。そうしないとやっていけへんなと思ったんですよね。それで出来たアルバムが『Bon Voyage』だったりもして。

--なるほど。

倖田來未:あとは新しいことに挑戦する。新しいスタッフが入ったことで、これまで出逢えなかった楽曲と出逢えるようになったんですよね。そういう意味での「新しいリスタート」でもあります。

--倖田來未はもうすぐ15周年を迎える訳ですけど、そこに向けて。という部分もあったんですか?

倖田來未:15周年を迎えるまでに整理したかったんです。例えば遠足に行く前にはやっぱり準備しなきゃいけないじゃないですか。15周年の初日に「よし、行くぞ!」って言うスタンバイをする為にも、これまで以上にいろんな物事に対してシビアな目で見なきゃいけないし、そういうジャッジをする為にも良い時期なのかなって。今もそうだし、しばらくはそういう時期なのかなって思ってます。

倖田來未『Dance In The Rain』インタビュー

--あのライブを観ても、今の発言を聞いても思いましたけど、「あ、この人、もう一度天下獲りに行こうとしているな」っていう。倖田來未というものをもう一度見つめなおして、何が一番自分の表現において重要なのか、どんな見せ方がベストなのか考えている。

倖田來未:はい。今回の新曲「Dance In The Rain」にしても配信だけでリリースするって初の取り組みなんですよ。私は好きなアーティストの作品はCDで買うタイプだし、映像もDVD買ってテレビで観る人だから、パッケージという形態を大切にしていたんですね。でも世界初の360°バーチャルリアリティミュージックビデオをつくったり、最先端のテクノロジーで新しい倖田來未を見せていく以上は、それに合ったリリース形態を取っていく必要があった。デビューして14年たった今もまだまだ挑戦することはたくさんあるけど、新しいことにトライすることは怖さもある。でも挑戦しないと何も始まらない。歩いていかなきゃいけないから。あと、15周年前の今、色々なことにトライして皆さんの反応を見てみたいという気持ちもあります。もちろん上手くいくかもしれないし、どうなるかは分からないけど、やっぱり自分の足で一歩踏み出して、それに対してみんながどういう風に思うか、どう感じるのかを知らないと! やっぱりトライしてみないと何も始まらない。マンネリ化していくだけになる。

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