2020/10/05
ビルボードチャートは単に売上だけではなく、様々な要素の複合チャートだ。だから、どれかひとつでも突出したポイントがあれば、それだけでチャートの上位にランクインしてくる可能性がある。とはいえ、よほど突き抜けていない限りはトップ10には入らないし、長くランクインすることも難しい。そう考えると、なるべくバランスよくポイントを稼ぐことが重要だ。
今週のJAPAN Hot 100で3位を記録したBTSの「Dynamite」は、そういった意味では非常に理想的といえるのかもしれない(【表1】)。8月21日にリリースされたこの曲は、フィジカルがないのでCDの売上やルックアップ(PCによるCD読取数)は加算されていない。しかし、それ以外は満点とも言っていいほど見事な動きをしている。
もともとBTSは配信を主戦場としてきたこともあり、ストリーミングにおける再生数は文句なしだ。9/7付、先週の9/28付、そして今週と3週に渡って首位を獲得している。またダウンロードも好調で、多少は変動はあるがほぼベスト10をキープ。ストリーミングとの相性がいい動画再生数も、5週連続でトップ5という好成績が続いているのはさすがだ。加えて、ラジオでのオンエア回数もしっかり取れており、日本国内でのプロモーションがきっちりと行き届いているのがよくわかる。ツイッターのつぶやき数に多少変動あるのは仕方がないが、全米での首位獲得をはじめ話題性は豊富なので、大幅に落ちることはないだろう。
敢えて不利な点を挙げるとすると、この曲は英語詞なのでカラオケチャートに入るのは難しいかもしれない。しかし、そこを補っても余るほどのヒット要素は高く、さらなるロングヒットになっていく可能性は高い。BTSのように理想的なポイント獲得はもちろん至難の業だが、ひとつの指標として他のアーティストにとっても参考になるはずだ。Text:栗本斉
◎栗本斉:旅&音楽ライター、選曲家。レコード会社勤務の傍ら、音楽ライターやDJとして活動を開始。退社後、2年間中南米を放浪し、現地の音楽を浴びる。その後フリーランスとして活動した後、2008年から2013年までビルボードライブのブッキングマネージャーに就任。フリーランスに戻り、雑誌やライナーノーツなどの執筆や音楽評論、ラジオやストリーミングサービスにおける構成選曲などを行っている。
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