2020/04/08 13:45
フー・ファイターズのデイヴ・グロールが、故プリンスに声をかけられてジャム・セッションを行った時の思い出をインスタグラムで綴っている。
2020年4月7日にグロールの自伝的ショート・ストーリー・アカウント“davestruestories”で公開された話によると、2011年にプリンスが米ロサンゼルスのThe Forumで開催した21公演の初日を観に行ったところ、グロールが来場していると知ったプリンスに楽屋に呼ばれ、1週間後の金曜日のステージで一緒に演奏しないかと提案された。
若い頃からプリンスに対して畏怖の念を抱いてきたグロールは大喜びしたものの、以前「ダーリン・ニッキー」をフー・ファイターズがカヴァーした際、プリンスからリリースの許可を貰えなかったことを覚えていたため(当時“あいつらは自分の曲を書けばいい”と一蹴されたそうだ)、自分たちの音楽を気に入っていないのではと思っていたこともあり、共演が実現するかは半信半疑だったようだ。
ワクワクや不安など、さまざまな思いが駆け巡る1週間が過ぎたが、プリンス側からはその後何の連絡もなく、何の曲を演奏するのかさえ知らされないままグロールは約束の金曜日に会場を訪れた。知り合いのセキュリティー担当者に楽屋に通された彼は、せめて自分の楽器だけでも確認しておこうと、誰もいないアリーナのステージに移動したところ、突然背後からプリンスが“海軍特殊部隊の隊員のように”ひっそりと現れ、「おい、あんたここで何やってるんだ」と聞かれた。「ジャムしに来たんですよ。そういう話だったじゃないですか」とグロールが内心ヒヤヒヤしながら答えると、プリンスから何事もなかったかのように、「ドラムでも演奏してみる?」と促されてホッとしながらドラムを叩き始めた。
するとプリンスは、ベースをバンドメンバーから受け取ってグロールのビートに合わせ、“最高にスムースでファンキーでスピーディーで優雅な”演奏を始め、他のメンバーも参加した“ロック/ファンク/ゴスペル/サイケデリアのシンフォニー”が無人のアリーナに鳴り響いた。
「なかなか重厚な足を持ってるじゃないか」とプリンスに褒められ、グロールは“もうスティックを置いて二度と演奏しなくてもいいや”とまで思ったそうだが、次にプリンスはベースをギターに持ち替えてレッド・ツェッペリンの「Whole Lotta Love」のイントロを弾き始めた。腕にタトゥーを入れまくるほどのツェッペリン好きなグロールは、“自分の目の前で宇宙が崩壊するほど”の衝撃を受け、全身全霊を込めてドラムを叩いたそうだ。
こうして最高の無人ジャム・セッションが実現したものの、結局プリンスの気まぐれで観客の前での共演は叶わなかった。グロールはこの体験談の他にも、プリンスが2007年の【NFLスーパーボウル】ハーフタイム・ショーでフー・ファイターズの「Best of You」を演奏した時についても回想している。
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