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2020/02/29

<ライブレポート>超特急による6人体制最後のFCツアーを振り返る

 2019年6月から活動休止していた超特急の6号車・ユースケが、2020年2月29日をもってグループから脱退する。6人体制最後となったライブは、“愛”をテーマに全国を回ったファンクラブ・ツアー【Toooooo 8】だった。本稿では、同ツアーのファイナルとなった2月23日の東京公演の模様について記述する。

 昨今のコロナウイルス騒動があるにも関わらず、この日ライブが開催できたことはまさに奇跡。そんな奇跡の瞬間に立ち会った約2,700人の8号車(ファンの総称)がZepp Tokyoに集った。開演のベルが鳴り響き、お馴染みの「Overure」でオープニング映像が映し出されると、ステージ上の電車のドアを象った5つの扉からメンバー5人が光を浴びて登場した。胸にはそれぞれのメンバー・カラーのコサージュがあしらわれ、白いシャツとブラックのスーツでキメたメンバーは、ステージに躍り出ると「Fashion」からライブがスタート。続く「Booster」「Kisse Baby」ではユーキのバク転も炸裂しながらクールな表情を魅せたかと思えば、コミカルな「SAY NO」では変顔も惜しまず披露した。

 最初のMCコーナーでは、リーダーの3号車・リョウガの口から直接ユースケの脱退について語られた。「この度は8号車の皆様を驚かせてしまい、辛い思いをさせてしまったこと、申し訳ない気持ちでいっぱいです。本当にすみません」とグループを代表して8号車に謝りながら、「本日のライブが正真正銘ユースケの残る“6人”と“8号車”でのファイナル・ライブということで、僕たちメンバーとしてはユースケを笑顔で見送ってあげたいと思っております」と気持ちを伝えた。「ご乗車してくださった皆様にもその願いを叶えて欲しい。泣いて終わるファイナルと笑って終わるファイナル、みなさんどっちがいいですか~? という質問なんですけれども…“後者~!”っていうのも答えにくいよね?」と話してからコール・アンドレスポンスを始めたり、「今見ている中でも涙がちょちょぎれている方もいらしゃいますが、ライブが終わった後に笑顔になれるようなライブにしたい。今は全然泣いていてもいいですよ、公式(グッズ)のタオルで拭いていただければ」といった発言で場を明るくするリョウガに、涙を流していた会場からも笑い声が響いた。

 自己紹介では、この日黄色のペンライトが売り切れたことをカイが前置きし、今回も全員でユースケの自己紹介を唱和した。すると、ユースケが大好だというプレーンのスティックパンを持った“超特熊”のぬいぐるみが登場。8号車の「召し上がれ」の合図で5人がスティックパンを試食するという不思議な時間が流れたが、ユーキによる「ユースケ、いつも食べてたよねこれ。絶対チョコチップの方がおいしくない?」という一言から、タカシも「大体なんかプレーンが好きじゃない? ピザも何も乗ってない、チーズだけみたいな」とユースケの意外な好みの話に発展。「お前はもっと味付けを知れ? わかったか!」「ワカッタヨ~」とリョウガがユースケ代わりの超特熊と一人二役で会話をしているうちに、タカシの自己紹介が忘れられてしまうという一幕もあった。

 そして話題は【Toooooo8】というタイトルについて。本ライブで全ての演出を手掛けたユーキが「テーマが“愛”というところで、僕たち超特急から8号車のみんなへ、沢山の愛を届けたいという思いで、ライブを作らせていただきました」と思いを吐露。さらに「東京は(ユースケの)発表があってから1日目、2日目とやっていくうちに、僕たちのほうが8号車のみんなから力をいただいていました。みんなの力をすごく頼りにしつつ、僕たちもそれに甘えずもっともっと8号車のみんなを驚かせたり楽しくさせたり、最後は笑顔にできるライブを作っていこうと思います。」と意気込んだ。

 そんなユーキの想いを受けて続いたライブは、メンバーが上段と下段に分かれるなど、ステージの特性を生かしたフォーメーションで魅せた「No.1」から、5人の関係性を表現した小芝居でも会場を楽しませた「Pretty Girl」へ。そして、年始のアリーナ・ツアーでも披露した「Body Rock」の椅子を使用したセクシーなダンス、続く「We Can Do It!」では後半にバックダンサーもつけたダンス演出で8号車を悩殺した。

 さらに、ここからは物語仕立てのメドレーを披露。満員電車を表現した「Rush Hour」で、サラリーマン風の衣装を身に着けたメンバーが人混みに揉まれるところからストーリーが始まる。電車からはじき出されたリョウガが、白いワンピースを着た女性にハンカチを差し出され恋に落ちると「Jesus」へ。彼女への想いを募らせたリョウガがラブレターを渡した……のは女装したタカシだったが、最終的には「EBiDAY EBiNAI」でハッピーエンドへ着地したのだった。そしてメドレーの最後は、1月にリリースしたばかりの「サヨナラは雪のあとで」を初披露してしっとりと締めくくられた。

 ライブ後半に突入すると、結成時からの映像が時系列に映し出されたショート・ムービーが放映された。そこから「refrain」「Synchronism」の2曲を披露。ユースケの立ち位置はぽっかりと空き、ユースケとペアダンスを組むタクヤの手は空を切るのだが、だからこそユースケの姿はしっかりと目に浮かぶ。タカシが想いを込めて歌う歌詞と5人ダンスがシンクロし、6人のメンバー愛と絆、そして8号車への愛が、そこにいる全員に伝わっていた。そんな2曲が終わると、セットから照明まで全てのライブ演出を担当したユーキが 「今回のFCツアーというところで超特急っぽくしたかった。僕が演出に関わるということは、超特急らしくないといけないと思った。」と演出について語った。「ユースケの休止もあったので“メンバー愛”を感じてほしいし、超特急の絆と今までの経緯をいろんなところで知ってもらいたくて、メンバーに昔の写真を送ってもらったりして、それを映像にしました。ずっと一緒に演出をしてくださったShigeさんから学んで培ったことを僕なりに発揮したかった」と涙を滲ませながら伝えた。

 そんな湿っぽい空気から一転、後半戦は「Drawイッパツ!」からかっ飛ばしていく。「全員悔いのないように声出してください!」とコールを響き渡らせたら「Don’t Stop 恋」へ。本編最後はユースケのセンター曲 「Burn!」で会場を大合唱させた。さらにアンコールはglobeのカバー「Love again」からクールにスタートし、ラストはユースケが作詞作曲した「超特急です!!!!!!!!」でこの日の全てのパフォーマンスが締めくくられたのだった。

 ライブが全編終了。カイはツアー全公演を振り返り、「今日来れなかった方も、きっと今ここにいるみんなと同じ気持ちで今日を迎えてくれていると思う」と話し、「ここに来れなかった8号車さんを含め、この日々を乗り越えた僕たちはきっと誰よりも強いですし、誰よりも優しくて誰よりも愛に溢れた人たちだと思っています。これからも手を取り合って進んで行きたい」「僕は先頭車両なのでみんなを引っ張って行って、超特急という列車をしっかり東京ドームのもっと先の未来へと引っ張って行きたい」と心強い言葉を語った。

 東京の3日間はFCツアーの中でも特に濃いものだったと話したタクヤは、「8号車のみなさんにすごく支えられたなと心の底から思っています。ライブをしていて一番楽しいと思う瞬間が、8号車一人ひとりの笑顔を見れた瞬間で、心の底から幸せだなと思えます。これから先、何があるか分からないですが、みなさんとより沢山の笑顔を共有して、幸せな時間を過ごせることを楽しみに頑張っていきたい」と超特急のこれからに向かって意気込んだ。

 また、ユーキは「“超特急はこれだ!”という姿が僕なりに見えているので、みなさんを誰一人置いていかずに連れて行けたら。みんなの気持ちは本当に届いているし、俺たち自身も考えながらこの先進んで行って、みんなにとって楽しくなるようなものを、明るい未来を作って行けるようにしていきたい」と、そしてタカシは「3月からは5人で活動していきます。理解しようと思ったり、前を向いて進んでくれようとしている人もいると思うけど、それは人によって時間のかかることだと思う」とファンを気遣いながら、「みなさん、本当に大丈夫。超特急とユースケは僕が絶対に守りますから。それだけは本当に信じてください。僕は末っ子担当やし、ボーカルも1人でやってるけど、もっと胸張ってこれからも色んなところに出て行こうと思ってるから。絶対に皆さんのこと守ります。ただそれだけです」と、それぞれ頼もしい発言で超特急・愛を表明。

 最後にリョウガが「僕たち5人、ユースケも含めて一番の願いは8号車の幸せです。皆さんが幸せだと思う道に僕たち超特急と歩むという未来があるのなら、これからも一緒に歩む、というより走っていけたらなと思っております。何が起こるか本当に分からない未来が広がっていますけど、存在する8号車の一人ひとりの強い想いがあれば、山も海も空も走っていける」と話し、公演に幕は下ろされた。

 2020年3月1日から新体制として活動していく超特急。ユースケへの愛を胸に刻みつけ、新しい1歩を踏み出した5人は、これからも8号車が贈るエールをレールに変えて走り続け、いつか最終終着駅の景色を見せてくれるにちがいない。

Photo by 米山三郎


◎公演情報
【BULLET TRAIN FUN CLUB TOUR 2020「Toooooo 8」】
2020年2月21日(金)~23日(日)
東京・Zepp Tokyo
<セットリスト>
1. Fashion
2. Booster
3. Kisse Baby
4. SAY NO
5. No.1
6. Pretty Girl
7. Body Rock
8. We Can Do It!
9. Rush Hour
10. Jesus
11. EBiDAY EBiNAI
12. サヨナラは雪のあとで
13. refrain
14. Synchronism
15. Drawイッパツ!
16. Don’t Stop 恋
17. Burn!
EN
18. Love again
19. 超特急です!!!!!!!!

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