2018/07/17
ドレイクの『スコーピオン』が2週連続の首位獲得を果たした、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
先週、2018年最高の初動ユニット(732,000)を獲得し、週間視聴回数、アーティスト別首位獲得総数など、様々な記録を塗り替えNo.1デビューした本作。半数以上ポイントダウンしたとはいえ、今週も335,000ユニットを獲得。2週目で獲得したユニット数としては、2015年12月19日付チャートで記録した、アデルの『25』(1,160,000ユニット)に次ぐ歴代2位となる。なお、この記録はストリーミングのポイントが加算されるようになった2014年12月以降のもので、それ以前に発売されたアルバムは含まれていない。
2018年のアルバム・チャートで、2週以上の首位を獲得したのは、本作と『グレイテスト・ショーマン』(2週)、『ブラックパンサー:ザ・アルバム』(3週)の2枚のサウンドトラックと、そして今週2位に再浮上した、ポスト・マローンの『ビアボングズ&ベントレーズ』(3週)の4作のみ。首位を獲得したその他のアルバムをみても、初動ユニット数(1週目)が『スコーピオン』の2週目を超えるものはほとんどない。
335,000ユニットのうち、29,000枚がアルバムの純粋な売上枚数で、そのほとんどがストリーミングによるポイントだった。週間視聴回数は3億9,980万回で、先週歴代1位に輝いた本作の7億4,900万、 ポスト・マローンの『ビアボングズ&ベントレーズ』の4億3,130万回(2018年5月12日付)に続く歴代3位。2週目以降のストリーミングとしては、過去最高の記録となった。このことからも、ストリーミングの需要がいかに伸びているかが分かる。
本作が2週目の1位を獲得したことで、首位獲得総数を23週に更新したドレイク。ヒップホップ・アーティストとしては、通算32週のエミネム、25週のジェイ・Zに続く歴代3位で、『スコーピオン』 のヒット次第では、ジェイ・Zを抜き歴代2位に浮上するだろう。なお、首位を獲得したアルバムの数としては、そのジェイ・Zが14作で1位、エミネムとドレイクが8作で2位タイとなる。ドレイクの場合、通算13週のNo.1をマークした『ヴューズ』(2016年)の大ヒットが大きかった。その他、2週以上首位獲得を果たしたアルバムは、昨年にリリースした『モア・ライフ』(3週)のみ。
ポスト・マローンを挟み、今週3位にデビューしたのはフューチャーの新作『ビーストモード2』。本作は、7月6日にサプライズ・リリースされたミックステープで、ゼイトーヴェンと共作した『ビーストモード』(2015年)の続編となる。本作も、そのゼイトーヴェンによるプロデュースで、過去の作品やグッチ・メインのアルバムでもおなじみのヤング・スクーターがゲストとして参加している。以前から発売を示唆していたが、ドレイクの新作を避けて翌週にしたとのこと。
ダウンロード(セールス)もなく9曲と曲数も少ないが、週間7,350万視聴を記録、初動57,000ユニットを獲得。ストリーミング限定アルバムとして歴代チャート最高位をマークした。これまでは、チャンス・ザ・ラッパーが、2016年にリリースし、38,000ユニットをマークした『カラーリング・ブック』の8位が最高位で、歴代1位を保持していた。ミックステープとしては、1位のドレイクとコラボした2015年の『ホワット・ア・タイム・トゥ・ビー・アライヴ』(1位)、昨年リリースしたヤング・サグとの『Super Slimey』(2位)に続く3作目、スタジオ・アルバムを含めると通算9作目のTOP10入り(うち5作が1位)となる。本作をリリースする直前、自身のツイッターで「アルバムより先にミックステープをファンに届けようか?」と投稿していたことから、7作目のスタジオ・アルバムも年内にはリリースされるかもしれない。
訃報によりストリーミングが急増したエクスエクスエクステンタシオンの『?』は依然強く、51,000ユニットを獲得して先週の5位から4位に浮上。7月10日に女児を出産し、SNSにマタニティヌードを投稿したことも話題となった、カーディ・Bの『インヴェイジョン・オブ・プライバシー』(44,000ユニット)も、6位から5位にランクアップした。出産関連の報道により、次週はさらに上昇が見込める。「Lucid Dreams」が大ヒットしている、ジュース・ワールドの『グッドバイ&グッド・リダンス』も、最高位となる6位まで昇りつめた。5月に最高3位をマークした、リル・ベイビーの『ハーダー・ザン・エヴァー』は、12位から10位へ再TOP10入りした。
9位に初登場したのは、ミーク・ミルのEP盤『レジェンズ・オブ・ザ・サマー』。初動26,000ユニットのうち、6,000枚がアルバム・セールス、およそ2万がストリーミングよるみなし売り上げだった。本作もフューチャー同様、全4曲からみると1曲1曲高い視聴回数を獲得していることがわかる。これまでリリースした3枚のスタジオ・アルバムと、3作のコラボレーション・アルバムは全てTOP10入りしていて、2016年発売のミックステープ『DC4』(3位)を含めると8作目のTOP10入りとなる。ミーク・ミルは、昨年11月に執行猶予違反の罪で服役し、今年4月に保釈が認められたばかり。ジェイ・Zやクリス・ブラウンなどが抗議の声を挙げたことが話題となった。
8位のジェイ・Z&ビヨンセ夫妻によるザ・カーターズの『エヴリシング・イズ・ラヴ』含め、TOP10内9作がヒップホップ・アルバムだった、今週のチャート。残る1作は、驚異的なロングヒットを記録している『グレイテスト・ショーマン』(7位)のサントラ盤。
Text:本家一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートの掲載は、7月20日以降予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『スコーピオン』ドレイク
2位『ビアボングス&ベントレーズ』ポスト・マローン
3位『ビーストモード2』フューチャー
4位『?』エクスエクスエクステンタシオン
5位『インベージョン・オブ・プライバシー』カーディ・B
6位『グッドバイ&グッド・リダンス』ジュース・ワールド
7位『グレイテスト・ショーマン』サウンドトラック
8位『エヴリシング・イズ・ラヴ』ザ・カーターズ
9位『レジェンズ・オブ・ザ・サマー』ミーク・ミル
10位『ハーダー・ザン・エヴァー』リル・ベイビー
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