2018/06/08 04:00
2018年度上半期“JAPAN HOT100”を制して第1位となったのは、大方の予想通りダウンロード、ルックアップ、動画で3冠を獲得した米津玄師「Lemon」だった。プロデュース曲「打上花火」を含めると100位以内に7曲を送り込む目覚ましい活躍ぶりをみせている。それらの楽曲で共通するのは動画ストリーミングとダウンロード、次いでTwitter指標において着実に積み上げた高ポイントで、2017年、2018年にリリースされた楽曲群によって、2014年発表の「アイネクライネ」、2016年発表の「LOSER」もリバイバルする展開だった。なかでもやはり「Lemon」は第1位だけあって他指標でも高ポイントを上げていて、シングル・セールス12位、ルックアップ1位、ラジオ3位という結果で、限定解禁されているストリーミングは圏外だが、もし解禁されればおそらくは上位になるだろうことは、「打上花火」が上半期ストリーミング1位となっていることから容易に予想できる。
ここで2017年度年間チャートを振り返ると、米津同様の無双ぶりをみせた星野源「恋」は、ラジオ、ダウンロード、ルックアップ、Twitter、動画で5冠を獲得、特に、ダウンロードと動画が高ポイントを積み上げていた。「恋」と同じく、「Lemon」はダウンロードと動画で1位となっていて、2指標合計のポイントが実に全体の65%を占めている。
この結果から、デジタル領域がヒットを生みだす傾向は昨年度よりも一層歴然となり、なかでもダウンロードと動画ストリーミング数での高ポイントがヒットの必要条件となったといえる。
フィジカル・ポイントが全体の比重を大きく占めるアイドル系ではどうだろう。欅坂46「ガラスを割れ!」総合2位、乃木坂46「シンクロニシティ」総合4位、AKB48「ジャーバージャ」総合9位と、3曲がトップ10にチャート・インしている。この3曲ともシングル・ポイントが全体の大きな割合を締めているが、明暗を分けたのは、シングル以外のダウンロードやストリーミング、動画ストリーミング指標だった。アイドルの在り様が変わりつつあることがよく分かる結果だ。
続いて視点を変えて、米国ビルボードでその躍進が世界へ向けて報じられたK-POP勢の筆頭、BTS (防弾少年団)とTWICEをみてみよう。100位以内にBTSは3曲、TWICEは9曲を送り込んでいる。これらを牽引するのはTwitterと動画ストリーミングで、それにシングルとストリーミングが加わる。ところが、ダウンロードではTWICEは善戦、BTSは苦戦している。前述のヒットの必要条件であるダウンロードも伸ばすことができれば、日本国内でもより広く浸透していくに違いない。
最後に、2017年度年間チャートでは、9月最終週からのチャート・インとなったために惜しくも圏外だった荻野目洋子「ダンシング・ヒーロー」が、今年度上半期で堂々11位となり、その人気ぶりを実証した。それを牽引するのは、米津玄師「Lemon」の動画ストリーミング数83,711,595回に次いで76,537,904回で2位となった動画のポイントが大きい一方で、ダウンロード24位、ストリーミング9位と、これらのポイントも全体の40%とまた大きい。これは、ユーザーが動画ストリーミングに留まらず、ダウンロードやストリーミングの消費行動に移行していったことを示すもので、今後のコンテンツ・マーケティングにおける注目すべき結果といえるだろう。そして、それが1980年代半ばに生まれた楽曲によって引き起こされたということは、豊富なコンテンツを蓄積している国内音楽市場にとり、明るい兆しといえるのではないだろうか。
なお、首位を獲得した米津玄師にはインタビューも実施。「Lemon」に込めた思いやチャートの存在、そしてヒットについてどう捉えているのか、最近のお気に入りの曲まで語ってもらった。
【2018年上半期 JAPAN HOT100】
1位「Lemon」米津玄師
2位「ガラスを割れ!」欅坂46
3位「ドラえもん」星野源
4位「シンクロニシティ」乃木坂46
5位「Candy Pop」TWICE
6位「さよならエレジー」菅田将暉
7位「打上花火」DAOKO × 米津玄師
8位「瞬き」back number
9位「ジャーバージャ」AKB48
10位「MIC Drop」BTS (防弾少年団)
11位「ダンシング・ヒーロー」荻野目洋子
12位「Find The Answer」嵐
13位「無意識の色」SKE48
14位「TT」TWICE
15位「Wake Me Up」TWICE
16位「シェイプ・オブ・ユー」エド・シーラン
17位「風に吹かれても」欅坂46
18位「シンデレラガール」King & Prince
19位「あなた」宇多田ヒカル
20位「White Love」Hey! Say! JUMP
集計期間:2017年11月27日(月)~2018年5月27日(日)
◎米津玄師 インタビュー
http://www.billboard-japan.com/special/detail/2340
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