2018/04/21
【東京・春・音楽祭】で今年あたらしい、そして“異色”な企画として開催されたのが、上野の杜から坂をくだった鶯谷に位置する東京キネマ倶楽部を会場におこなわれた【Cabaret(キャバレー)を巡る物語~1920年代の華やかなりし上海から、パリ、ベルリン、そして上野へ】だろう。
“クラシック”フェスでは異例の21時半という開演時間にむけて、東京キネマ倶楽部にたくさんの紳士淑女が集まり、バーにて思い思いのドリンクを片手にこれから深夜に渡って繰り広げられる公演を待つ雰囲気は往年の“グランドキャバレー”を彷彿とさせるものだったのではないだろうか。
ミュージカル『キャバレー』から「Willkommen」にて軽快に始まった本公演は、シャンソニエの聖児セミョーノフが歌い、語り、“キャバレー”文化の旅に誘う案内役として登場。3人の“ガールズ”やピエロ役が客席から舞台へ登場、舞台はあっという間に華やかなショー・ムードに。そこへ女王然として登場するソプラノ中嶋彰子こそがウィーンで活躍するオペラ歌手であり、本企画の中心人物だ。
舞台上の舞台は蘇州からベルリン、パリ、上野へと移っていき、楽曲も李香蘭「蘇州夜曲」を皮切りに、中嶋彰子の歌う艶気たっぷりのクルト・ヴァイルのキャバレーソングや三文オペラ、そしてパリにうつり「ラストダンスは私に」「愛の賛歌」「ばら色の人生」がロマンチックに歌われた。23時をまわった頃には高木東六「恋人よお寝みなさい」、そして最後は「東京ブギウギ」で明るく終幕となり、手拍子などが途切れない盛り上がりを見せた。
そして事前の予告通り、朝まで繰り広げられる“オトナな”第2部【東京春祭LATE NIGHT SHOW】が24時をまわってから開始。「二部から来た人いますか?」との舞台からの問いかけに挙手する人も多く、この“オトナ”な秘密公演がいかに楽しみにされていたかを物語っていた。
上野を舞台に行われた【東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2018-】は4月15日のファイナルコンサートをもって閉幕。来年もこの異色の本公演が開催されるかどうかは、今年の反響によるようだ。来年の開催予告を楽しみに待ちたい。Text:yokano
◎公演情報
東京・春・音楽祭-東京のオペラの森2018-
【Cabaret(キャバレー)を巡る物語~1920年代の華やかなりし上海から、パリ、ベルリン、そして上野へ】
東京キネマ倶楽部
OPEN 21:00 START 21:30
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