2018/02/22
フィフス・ハーモニーから脱退して、本格的にソロとして活動し始めたカミラ・カベロ。エキゾチックなルックスと甘い歌声で人々を魅了している彼女だが、今回はHot100にて10位(2018年2月19日付け)にチャートインしている「ハバナ feat.ヤング・サグ」の楽曲について検証してみる。
同曲は2018年1月12日にリリースされたカミラの1stアルバム『カミラ』のリードシングルとして、2017年の9月に先行配信。ヤング・サグというホットなラッパーを客演に迎えた同曲は、アメリカのチャートだけではなく、イギリスのチャートでも1位を獲得。10月に公開されたMusic Videoは彼女が一人二役を演じたことでも話題になり、公開から1ヶ月で2億回再生を突破するなど(現在は5億回再生を突破)世界的なヒット曲に。
ここ日本では、同曲が収録されているアルバム『カミラ』の国内盤が1月24日にリリースされ、それに合わせてプロモーションのために来日。2月2日(金)にはテレビ朝日「ミュージックステーション」に、2月6日(火)には日本テレビ系「スッキリ」に出演し、パフォーマンスを披露。更には、2月4日にファンイベントを開催するなど、メディアやSNSなどを通して、カミラの20歳らしい等身大で真摯な振る舞いと、惜しみない日本愛が拡散され、彼女の来日中の動向が話題に。本国でのアルバムリリース日、1月12日直後のランキングの57位から徐々に順位を上げ、リリースから5週後となる今回、TOP10にチャートインを果たした。
では、楽曲を分析していこう。
2017年にルイス・フォンシの「デスパシート feat.ダディー・ヤンキー」が大ヒットした流れでもある、「ラテンミュージック」をベースにサウンドが構築されている。タイトルが「ハバナ」ということもあり、彼女の生まれ故郷でもあるキューバの伝統音楽「ソン」がリズム要素として組み込まれていて、印象的なスリーコードのピアノのリフとシンコペーションするベースライン、後半にかけて情熱的なブラスがストーリーを盛り上げている。
ここでポイントなのは、リズムが打ち込みだということ。ラテンミュージックと言ったら生の打楽器のグルーヴでベースを作っていく印象が強いものの、この「ハバナ」ではリズムマシーンのTR-808(通称ヤオヤ)が使われていて、打ち込みと生楽器のグラデーションが、とても良いバランスで彼女の歌声をより魅力的に聞かせるように、リスナーが自然と体を揺らして踊りだしたくなるようなノリになるように工夫されている。
今回、プロデューサーはフランク・デュークス(Drake、Frank Ocean、Lordeなどを手がけている)が関わっている。若干34歳だが、近年の先品を聴いていると生楽器と打ち込みの使い方のバランス感覚がとても優れているように感じる。ラテンミュージックをベースにしている音楽が世の中に溢れている中、フランク・デュークスは絶妙な”さじ加減”で、リスナーの心を躍らすことに成功している。
そして、何と言ってもリリックが秀逸である。一回聴いただけで覚えてしまう「na-na」を基調とした言葉遊び、主人公の背景、心の描写、相手との距離感をシンプル且つ誰にでもわかるように表現されている言葉選び、そこに少し気だる目のリズムで乗せる言葉運び。
言葉とリズムとメロディーが完全に一致すると、こんなにも美しい楽曲が出来上がるのだと感じられる貴重な一曲だろう。Text:横山裕章(agehasprings)
◎横山裕章 参加作品情報
振付家・ダンサー 北村明子の新作
アジア国際共同制作プロジェクト【Cross Transit “vox soil”】東京公演2018
2018年3月28日~2018年3月30日
東京都 調布市せんがわ劇場
※音楽ディレクター・音響として参加
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