2018/01/12
ポール・スタンレーズ・ソウル・ステーションの来日ツアー初日公演が2018年1月11日、六本木・ビルボードライブ東京にて開催された。自らの奥にある尊い襞を、笑顔で見せる。そのパフォーマンスを一言で示すなら、そうなるだろうか。
2015年初秋に始めた、KISSのフロント・マンであるポール・スタンレーのソウル・ミュージックを披露するスペシャル・プリジェクト“ソウル・ステーション”がついに日本でお披露目された。総勢13人、ドラマーは旧知の間柄にして、KISSの同僚であるエリック・シンガーが勤める。彼は音楽性にあわせてキック・ドラムは一つだけ置くなど、シンプルなセットを用いていた。そして、さらには女性2人と男性1人のバックグラウンド・シンガー、2人のキーボード、ギター、ベース、パーカッション、3人の管楽器という、いかにもソウル・ショウに適した大所帯で面々は事にあたった。
演目は、70年代に発表された(一部は60年代曲も)、米国ポップ音楽史に燦然と輝くソウル名曲群。モータウンを代表したコーラス・グループであるザ・テンプテーションズの「ゲット・レディ」や「ジャスト・マイ・イマジネーション」(ストーンズも1978年にカヴァー)、フィリー・ソウルの名コーラス・グループであるザ・デルフォニックスの「ララは愛の言葉」、南部ソウルきってのメロウ歌手であるアル・グリーンの「レッツ・ステイ・トゥゲザー」、かつてモータウンの副社長も勤めた裏声歌唱の名士であるスモーキー・ロビンソン(ジョン・レノンが名作詞家としてあがめた)の「ウー・ベイビー・ベイビー」、ソロ・デビュー前のジミ・ヘンドリックスがギターを弾いたこともあったファンク・バンドであるザ・アイズレー・ブラザースの「フー・ザット・レイディ」、等々。なるほど、その選曲は<ソウル局>というグループ名そのものだ。
そして、驚いたことにスタンレーはそれらをファルセットで歌う。一切ギターを持つ事もなく、彼はスウィート&テンダーな歌手として中央に立つ。実はロックにはまる前にまず彼はソウル・ミュージックを愛好したそうだが、そこには子供のような純な心持ちに満ちる。ソウルは真心の音楽であることをMCで彼は強調していたが、スタンレー自身が心優しい“マインドにあふれる男”であることを接した者は痛いほど感じたのではないか。彼はバンド・メンバーたちが自分と対等な関係であることを伝え、コーラスの3人にはそれぞれにリード・ヴォーカル曲(ザ・ジャクソン5曲とマーサ&ザ・ヴァンテラス曲とスティーヴィー・ワンダー曲)も与える。その際、スタンレーは嬉々としてバック・コーラスを担当する。ああ、“100%ミュージック・ラヴァー”の所作がそここに山ほど!
いつものKISSのメイクのないスタンレーはとても若々しく、格好も良く、とても65歳とは思えない。「武道館や東京ドームじゃないと、近いなあ。皆、ファミリーだよ!」、そんな発言も彼はする。そう、KISS公演だけでは知る事ができない、素の好漢ポール・スタンレーとその一座の歓びにあふれたショウはプレミアムなものだった。(佐藤英輔)
Photo: Masanori Naruse
◎公演情報
【BBL 10th Anniversary Premium Stage
ポール・スタンレー】
ビルボードライブ東京
2018年1月11日(木)・12日(金)
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
2018年1月13日(土)
1stステージ開場15:30 開演16:30
2ndステージ開場18:30 開演19:30
詳細:http://bit.ly/2eYWnbF
ビルボードライブ大阪
2018年1月15日(月)~17日(火)
1stステージ開場17:30 開演18:30
2ndステージ開場20:30 開演21:30
詳細:http://bit.ly/2CSRn2l
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