2017/12/12 11:30
U2の新作『ソングス・オブ・エクスペリエンス』がNo.1デビューを果たした、今週の米ビルボード・アルバム・チャート。
本作『ソングス・オブ・エクスペリエンス』は、2014年の9月に発売された前作『ソングス・オブ・イノセンス』から3年振り、通算14作目となるスタジオ・アルバム。全米では、1987年にリリースした5thアルバム『ヨシュア・トゥリー』から1997年の9thアルバム『ポップ』までの5作と、2004年の11thアルバム『ハウ・トゥ・ディスマントル・アン・アトミック・ボム』、2009年の12thアルバム『ノー・ライン・オン・ザ・ホライゾン』の2作が首位に輝き、本作はそれに続く8作目のNo.1獲得となる。
U2はこれで、1980年代、1990年代、2000年代、2010年代の全てで1位を獲得し、グループとしては初の快挙を達成した(ソロ・アーティストを含めると4組目)。また、全米アルバム・チャートでの首位獲得数8作は歴代6位タイで、U2の他にはカントリー・シンガーのケニー・チェズニーとマドンナがいる。歴代1位はビートルズの19作で、2位はジェイ・Zの14作、3位はブルース・スプリングスティーンとバーブラ・ストライサンドの11作、4位はエルヴィス・プレスリーの10作、5位はガース・ブルックスとローリング・ストーンズの9作が並んでいる。
本作の初動ユニットは186,000で、その内アルバムの売上は180,000枚だった。つまり、ストリーミングなどによるポイントは、ほとんどなかったことになる。ロック・バンドとしては、2017年最大の初動枚数を獲得した本作をはじめ、ロックやカントリー・シンガーのアルバムは、やはりセールスが強い。しかし、ヒップホップ勢などに比べるとストリーミングが弱いため、初登場した次の週には一気に順位を落とすケースも多々見受けられる。本作『ソングス・オブ・エクスペリエンス』は、高セールスをキープして次週も上位に停滞するのか、はたまた、例によって大幅にランクダウンしてしまうのか。ちなみに、前作『ソングス・オブ・イノセンス』が初登場9位どまりだったのは、アップルで無料ダウンロードを実施したため。
2位に初登場したカントリー・シンガー=クリス・ステイプルトンの『フロム・ア・ルーム:ヴォリューム2』も、初動ユニット125,000の内、116,000枚がアルバムの売上とセールスが好調だった。本作は、今年5月に発売された2ndアルバム『フロム・ア・ルーム:ヴォリューム1』の続編となる3作目のスタジオ・アルバムで、その前作(Vol.1)も初動219,000ユニットの内、アルバムの売上が202,000枚とほとんどがセールスによるポイントだった。2作連続で惜しくも2位デビューとなったが、2016年2月に開催された【第58回グラミー賞】で、<ベスト・カントリー・アルバム賞>を受賞し、米アルバム・チャートで首位を獲得したデビュー作『トラベラー』(2015年)から、カントリー・アルバム・チャートでは3作連続でNo.1に輝いている。
初登場から3週連続でNo.1を死守した、テイラー・スウィフトの『レピュテーション』は今週3位にダウン。12月1日からストリーミングが解禁され、今週のチャートからストリーミングによるポイントが加算されることになったが、週間ユニット数112,000の内、アルバムのセールスが70,000枚、ストリーミングによるポイントが42,000と、思ったほど数字が伸びなかったように思える。「ルック・ホワット・ユー・メイド・ミー・ドゥ」や「…レディ・フォー・イット?」など、目玉となる先行シングルが既に視聴可能だったということも、その原因として挙げられる。
今週9位に初登場したのは、米カリフォルニア出身のネオ・ソウル系R&Bシンガー=ミゲルの新作『ウォー・アンド・レジャー』。2015年リリースの3rdアルバム『ワイルド・ハート』から2年半振り、通算4作目のスタジオ・アルバムで、最高位2位をマークした前作から順位は落としたものの、2012年リリースの2ndアルバム『カレイドスコープ・ドリーム』(最高3位)から3作連続、R&Bチャートではデビュー作『オール・アイ・ウォント・イズ・ユー』(2010年)から全てのアルバムがTOP10入りを果たしている。本作には、フューチャーやJ.コールといった人気ラッパーから、コロンビア出身の女性シンガー・ソングライター=カリ・ウチスなど個性的なゲストも参加していて、前作よりもポップなナンバーが多く、聴きやすいアルバムに仕上がっている。
Text:本家一成
※関連リンク先の米ビルボード・チャートの掲載は、12月13日22時以降予定となります。
◎【Billboard 200】トップ10
1位『ソングス・オブ・エクスペリエンス』U2
2位『フロム・ア・ルーム:ヴォリューム2』クリス・ステイプルトン
3位『レピュテーション』テイラー・スウィフト
4位『÷(ディバイド)』エド・シーラン
5位『ペンタトニックス・クリスマス』ペンタトニックス
6位『テル・ミー・ユー・ラブ・ミー』デミ・ロヴァート
7位『スリル・オブ・イット・オール』サム・スミス
8位『クリスマス』マイケル・ブーブレ
9位『ウォー・アンド・レジャー』ミゲル
10位『ザ・アンソロジー:パート1、ザ・ファースト・ファイブ・イヤーズ』ガース・ブルックス
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