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2017/08/01

分島花音 「あなたと誓います。」高く果てしない夢でも、諦められないから…10周年へ“とりあえず神曲めっちゃ書く”

 分島花音が、昨年12月にリリースしたアルバム『luminescence Q.E.D.』を携えたライブツアー【分島花音 LIVE TOUR 2017「BLUE BEAST BIOLOGY」】のファイナル公演を、7月17日 渋谷 TSUTAYA O-EASTにて開催した。

<まずは少しお勉強…。>

・luminescence(ルミネセンス)=(物理学)発光、何らかの衝撃によるエネルギーが物質に加えられ発光する現象
・Q.E.D.(キュ・イー・ディー)=数学や哲学において「証明終了」を示す略号

 『luminescence Q.E.D.』=何らかの衝撃によるエネルギーが物質に加えられ発光する現象の証明終了…? ちょっと難しいが、もう少しの辛抱。ツアータイトル「BLUE BEAST BIOLOGY」=青い獣の生物学 と合わせて紹介すると…、音楽を聴いているときに何か鳥肌が立つ、ビビッとくる瞬間はないだろうか? そんな音楽から受ける衝撃を、分島花音は得体の知れない「モンスター」「青い獣」(=BLUE BEAST)と表現している。それにより高ぶる気持ち、輝く時こそが「luminescence」に集約されている。簡単に言ってしまえば、彼女の音楽に潜む青い獣=衝動により高揚する(=光る)瞬間を見つけていく作業が今回のツアーであり、その探求に必要な要素が『luminescence Q.E.D.』である。って、簡単に言えなかった。。だが、先に進もう。

 アルバム『luminescence Q.E.D.』は、彼女の独創的な世界観が詰め込まれた作品に違いない。だが、アルバムを通して分島花音らしい表現のなかで見えてくるのは、分島花音という個人の思いであるということ。ストーリー性を貫いた作品ではなく、自分自身の心を共有するような作品なのだ。そうだとすると、今作は音楽から受ける衝動に高揚してしまう分島花音の本音(の証明)であり、「私の気持ちで/私の音楽で どれくらい楽しんでいただけますか?」といったリスナーに対する提示であったのかもしれない。

 と、ここまで長々と勉強ネタを書き連ねたが、これが全て正当な答えではない。ではなぜ、ここに記したのかというと、彼女のライブで受けた何らかの衝動に突き動かされたからだ。“彼女の夢”が精一杯の言葉と歌によって誓われたあの瞬間、会場に居合わせたみんなが彼女との衝突(=光り輝く未来)を望んでいた。そんな一夜を少し紹介したい。

<今宵のライブはストリングス・カルテッドを加えたスペシャル編成で!>

 今回のツアーは3月20日 渋谷WWWにて開幕。ツアー初日は特別仕様のライブ<moonlight party ver.>(通称、ムンパ)となっており、ステキな音楽を楽しむホームパティのような空間に酔いしれた(3/22渋谷WWW公演:http://www.billboard-japan.com/d_news/detail/49115/2)。その後ツアーは<Q.E.D. ver.>となり、ツアーファイナルはストリングス・カルテッドを加えた特別編成。分島花音も登場からチェロを構え、調律、sugarbeansによる指揮、そして素晴らしい朝を迎える「自由落下とピノキオ」へと流れていった。

 「行くぞ! ファイナル!! ようこそ、渋谷!」集まった観衆へ始まりを告げる「killy killy JOKER」を響かせた。かと思えば、平静を取り戻しお嬢様へ問いかける。「今日はみんな、何時に起きた?」“8時50分!”「びみょー! わたしは6時30分くらいに目が覚めました(笑) 私の平凡な一日を… 特別に変えてくれる~♪ それが! ライブ!! 私の月並みな日常に笑顔とルミナス(=輝き)をくれる! みんなー!」ミュージカル調な始まりで「平凡な僕」。めまぐるしく様相を変えていくライブに目が離せなくなっていった。

 マトリョーシカ型のテルミンを使った「無重力」披露後、“ハウリングス”こと分島バンドと「RIGHT LIGHT RISE」で大はしゃぎで旗を振り回し、「芸術家のかわいい想像たち」~「sing sing sing」で各ソロの個性を存分に吐き出したジャジーなサウンドとリズムにノリノリで遊びほうける分島花音。続いては、“スクラッチ ストリングス”と今宵だけの特別編成として「君はソレイユ」「ナイチンゲール」を披露していった。

 ここから冒頭で紹介した、音楽から受ける衝動を前面に出した“モンスター”楽曲が畳み掛けられる。分島花音もギターに持ち替え、その興奮を音にのせるようにかき鳴らす。その姿に呼応する観衆へ、“まだまだ足りない”と首を横に振り煽っていく。凄まじい勢いで3曲もあっという間。今度は“ガオガオガオ”とコール&レスポンス。お嬢様に優しく「君たちのために来たんだよ(笑)」と投げかける、一変してキュートに振舞う彼女はラストスパートをかけていった。

<もう少し私と一緒に夢をみてくれますか? あなたと誓う彼女の夢>

 ライブ終盤、今回のツアーを振り返る。春に渋谷から始まって京都、福岡、広島、仙台、名古屋、大阪とまわり、渋谷に戻ってきた。とっても楽しいツアーで、どの公演も全力で一生懸命、音楽を届けた気持ちで臨んでいたが、“届けきれてなかったんじゃないのか”と感じることもあり、自分の未熟さや不甲斐なさに、悔しい思いもあった。去年のツアーのファイナルで言った「ここにいる全員、誰一人失いたくない」も、つなぎとめる力が足りなくて、過去の自分を超えられなかったことに悩んだりしたと明かす。彼女の赤裸々な言葉に、みな心穏やかでは居られなかっただろう。だからといって、彼女は「皆のことを思うと、高く果てしない夢でも、誰に笑われても…」諦めるつもりはなかった。そして、“私の夢”をここで誓うのである。

「あなたをもっと大きな会場へ連れていく」
「あなたが自慢できるようなアーティスト/ミュージシャンになる」
「あなたの人生がもっとドラマチックで豊かになる音楽を、
 これからもたくさん作って、届け続ける」
――もう少し私と一緒に夢をみてくれますか?

みんなが拍手で応えると、「この曲で、私の夢をあなたに誓います。」と宣言。長く終わらない夢は、悔しさだけでは生まれない光と出会わせる。短く儚い夢は、醜い自分と対峙させ未来へ繋げていく。高く果てしない夢は、あなたとの愛を証明する。「luminescence Q.E.D.」で、ここに誓われたのだ。さらに、ここからまた始まっていくドラマチックな人生に期待を込めて、「Unbalance by Me」も添えて。

 アンコールはもう祝福の興奮状態で、ただ音楽を一緒に楽しみましょうといった環境に。各々が好きなよう音に揺られ、歌を歌い、笑顔をみせる。こんな空間がいつまでも続けばいい、続かせられるようにと、分島花音の音楽は鳴り止まなかった。

 来年10周年を迎える分島花音だが、そのためにも「とりあえず神曲めっちゃ書く」と早くも意気込んでいる。みんなへ誓った夢に向かう彼女の今後、その実現に期待して、これからも一緒に音楽を楽しみたいと思えた、そんな一夜であった。


取材:フルカワタイスケ


◎セットリスト
【分島花音 LIVE TOUR 2017「BLUE BEAST BIOLOGY」】ファイナル
7月17日(月・祝)渋谷 TSUTAYA O-EAST
01.自由落下とピノキオ
02.killy killy JOKER
03.平凡な僕
04.giselle
05.無重力
06.さんすくみ
07.RIGHT LIGHT RISE
08.芸術家のかわいい想像たち ~sing sing sing
09.君はソレイユ
10.ナイチンゲール
11.モンスター・スター
12.ノットフォーセール・フォッシル
13.the BEAST can't BE STOpped
14.Love your enemies
15.サクライメイキュウ
16.ツキナミ
17.luminescence Q.E.D.
18.Unbalance by Me
19.Drink Drunk Music
20.プリンセスチャールストン

メンバー:
分島花音(vo,g,チェロ)
sugarbeans(pf)
堀崎翔(g)
時光真一郎(b)
池田しげのぶ(dr)
横田寛之(alto sax)
矢野小百合ストリングス(Strings quartet)

◎リリース情報
アルバム『luminescence Q.E.D.』
2016/11/30 RELEASE
<初回生産限定盤(2CD+BD)> 1000629294 5,500円(tax out.)
<アーティスト盤(CD+DVD)> 1000629176 4,000円(tax out.)
<通常盤(CD)> 1000629178 2,500円(tax out.)

 

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