2017/06/06 11:30
名門ジャズ・レーベルであるブルーノートから作品をリリースする傍ら、ジャズ界のみならずヒップホップやR&Bのフィールドにも積極的に進出し、現在、世界最高峰のジャズ・ピアニストとも評されるロバート・グラスパー。その彼が、新たなメンバーも加えた自らのバンド、ロバート・グラスパー・エクスペリメント(以下、RGX)を率いて、再び、ビルボードライブ東京のステージへ帰ってきた。
バンドメンバーの一人である、DJサンダンスによるDJプレイによってステージの幕は開ける。ア・トライブ・コールド・クエストやナスといったヒップホップの合間にブラックバーズやプリンスなども織り交ぜていく流れだけでも、これから始まるショウへの期待は必然的に高まっていく。そして、ロバート・グラスパー自身が敬愛する故J・ディラの楽曲を合図にRGXによる演奏がスタートする。
この日のステージの1曲目に彼らが選んだのは、2012年リリースのアルバム『Black Radio』に収録されたシャーデーのカバー曲「Cherish The Day」だ。アルバムではレイラ・ハザウェイが歌っていたこの曲を、ロバート・グラスパーの片腕とも言える存在のケイシー・ベンジャミンがボーコーダーを使ったエレクトリックな歌声を響かせ、原曲ともまた異なるアプローチでRGXならでは音の世界を一瞬のうちにステージ上に作り出す。続いて、昨年リリースの最新アルバム『ArtScience』の収録曲である「No One Like You」、「Find You」によって新生RGXとしての真価はさらに発揮されていく。
これまでのRGXとの最も大きな違いは、やはりギタリストの加入だろう。『ArtScience』にもプレイで参加し、ビラルのバンドメンバーとしても活躍するマイク・セヴァーソンの奏でるギターはRGXへ単にロックの要素を加えただけでなく、バンドとしての表現力の幅をより拡大させることに成功している。そして、彼以上に脚光を浴びていたのが、エスペランサ・スポルディングのツアーメンバーとして来日経験もあるジャスティン・タイソンのドラムだ。ロバート・グラスパーのピアノやバーニス・トラヴィスのベース、あるいはケイシー・ベンジャミンのサックスなど、個々のプレーヤーと絶妙なセッションを聴かせ、その一方でソロプレイでは止まることのない激しいグルーヴをその全身から溢れさせる姿は、まさに圧巻。メンバー紹介でも彼に対して一際大きな拍手が聞こえたのも当然であろう。
約90分のステージはあっという間に過ぎ、ラストはニルヴァーナのカバーである『Black Radio』収録の「Smells Like Teen Spirit」で幕を下ろす。彼らの去り際、DJサンダンスがケンドリック・ラマーの「Humble」をプレイした部分も含めて、全てが最高のショウであった。
Photo:Yuma Totsuka
Text:Kiwamu Omae
◎ロバート・グラスパー・エクスペリメント公演情報
ビルボードライブ東京 2017年6月4日(日)~5日(月)※終了
詳細:https://goo.gl/nr7qGR
ビルボードライブ大阪 2017年6月6日(火)~7日(水)
詳細:https://goo.gl/wCito9
品川ステラボール 2017年6月8日(木)
詳細:https://goo.gl/aPSF84
関連記事
最新News
関連商品
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像