2017/05/15 13:00
4月8日よりスタートした、井上陽水のコンサートツアー【井上陽水 コンサート2017 “Good Luck!”】東京公演が、5月11日・12日に昭和女子大学 人見記念講堂にて開催された。
両公演ともに冒頭は「この頃、妙だ」から「青空、ひとりきり」まで4曲続けて演奏。会場は張り詰めたに緊張感に包まれるが、一転「今晩は、井上陽水です。」と喋っただけで、空気は一気に緩む。ただの挨拶で笑ってしまう、緊張と緩和の振り幅、これを楽しむため井上陽水のコンサートに足を運ぶファンも多い。
「今日は日頃の悩みや苦しみを忘れてお楽しみください」と言いながら「といっても、私の曲は不吉な曲が多いんですけど……」と陽水節に観客も笑いが止まらない。最近“引きこもりがち”のため、コンサートのMCで喋る話題がない、と語る陽水だが、日常の些細な出来事を話し、会場を笑いの渦に巻き込むトークには安定感すら感じられる。圧倒的なパフォーマンスはもちろんのこと、MCも一見の価値あり。
11日、12日公演それぞれセットリストも異なるコンサートとなったが、両日ともに前半のクライマックスは、ボサノヴァ風のアレンジにより、妖艶な装いとなった「ワインレッドの心」から、NHKブラタモリのテーマソングとしてもお馴染みの「女神」「瞬き」の流れ。「女神」「瞬き」は今や、井上陽水の長いキャリアの中でも、代表曲と言えるほどの人気曲となっている。
ライブ後半は長田進、今堀恒雄を従えた弾き語りのコーナーから始まる。11日の公演では「実は、この曲は最近まであまり好きではなかった」と語り「心もよう」を歌うが、イントロが始まると拍手が起こり、オーディエンスにとっては「是非、聴きたかった」大好きな楽曲のようだ。一方、作詞をしている自分自身、“我ながら”一番共感できる曲であり、一番大好きな曲「Just Fit」を歌うと、その井上陽水のハイテンションなボーカル、3人のギターが生み出す熱量に、見ている方も思わず手に汗を握ってしまう。陽水も大好きな曲が歌えて満足そうだ。
その後も「リバーサイド ホテル」「氷の世界」などヒット曲を惜しみなく披露し、アンコールでは「アジアの純真」「夢の中へ」の2曲で観客は総立ちに。アンコールの2曲は両公演とも同じだったが、最後の1曲はそれぞれ異なる楽曲となったことによって、コンサートの余韻が全く違う2公演となった。
11日のラストは「夏の終りのハーモニー」シンプルで繊細な歌詞、メロディーが、陽水の艶やかな声に載せて会場いっぱいに広がると、この夜をロマンチックに染めていく。一方、12日の最後は「傘がない」重厚感あふれるお馴染みのイントロが始まると、見る者は鳥肌を立てて固唾を飲む。先ほどの「夢の中へ」までの楽しげな空気からまた一転、今日一番の緊張感が会場を支配し、陽水の鬼気迫る歌声に応えるように、ミュージシャンも迫真の演奏でそれぞれの音をぶつけ合う。ただただ、圧倒され言葉を失うほどに、胸に突き刺さる。
「夏の終りのハーモニー」同様、「傘がない」もラブソングだ。あまりにも有名な「都会では自殺する若者が…」という言い出しに社会的なメッセージソングと思われがちだが、ただひたすらに“君に会いに行きたい”と叫び続けている。一言でラブソングと言っても、様々なアプローチがあるということを、同じ“井上陽水”というシンガーソングライターから、この2曲の歌詞が生まれていることが、教えてくれている。1つのコンサートの中でいくつもの表情を見せてくれることが井上陽水の魅力だ。是非、井上陽水の世界、その門戸を一度叩いてみてはいかがだろうか。
撮影:有賀幹夫
◎ライブ情報
【井上陽水 コンサート2017 “Good Luck!”】
4月8日(土)いわき芸術文化交流館 ※終了
4月9日(日)やまぎんホール(山形県県民会館) ※終了
4月13日(木)ウェスタ川越 ※終了
4月23日(日)久留米シティプラザ ※終了
4月24日(月)長崎ブリックホール ※終了
4月28日(金)栃木県総合文化センター ※終了
5月6日(土)千葉県文化会館 ※終了
5月11日(木) 人見記念講堂 ※終了
5月12日(金)人見記念講堂 ※終了
5月18日(木)フェスティバルホール
5月19日(金)フェスティバルホール
5月21日(日)レクザムホール(香川県県民ホール)
5月27日(土)ニトリ文化ホール
5月29日(月)北見市民会館
5月30日(火)釧路市民文化会館
6月4日(日) 富士市文化会館ロゼシアター
6月9日(金) 岩手県民会館
6月11日(日)青森市文化会館
6月12日(月)大館市民文化会館
6月16日(金)新潟県民会館
6月24日(土)三原市芸術文化センター ポポロ
6月25日(日)周南市文化会館
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