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2017/05/07

ザ・ウィークエンド/アリアナ/ケラーニら参加、一切妥協ナシのデビューAL / 『9』カシミア・キャット

 2017年4月28日に待望のデビュー・アルバム『9』をリリースした、ノルウェー出身のDJ/プロデューサー、カシミア・キャット。

 本作からは、人気R&Bシンガー、ザ・ウィークエンドとフランシス・アンド・ザ・ライツをゲストに迎えた「ワイルド・ラブ」、セレーナ・ゴメスとトリー・レーンズが参加した「トラスト・ノーバディー」など、計4曲のシングルがリリースされている。先行シングルも手掛けたベニー・ブランコやフランク・デュークス、ホリー・アザー、ソフィーといった実力派がアルバムの制作/プロデュースに参加していて、全10曲、一切妥協ナシの高クオリティといえる。

 プロデューサーとしてもクレジットされているソフィーとムーがコラボしたタイトル曲「9」は、おもちゃ箱をひっくり返したようなサウンドが耳に残る、斬新なエレクトロ・チューン。唯一ゲストが参加していないインスト・ナンバー「ヴィクトリアズ・ヴェール」も、カシミア・キャットらしいユニークな音作りに仕上がっている。

 他にも、今をトキめく人気女性シンガーが多数参加していて、美しいファルセットを響かせる、アリアナ・グランデの「クウィット」や、フィフス・ハーモニーを脱退した、カミラ・カベロの「ラブ・インクレディブル」、妖艶な色気を醸し出すカシー・ヒルの「エウロパ・プールズ」など、ボーカルが活かされたナンバーもあれば、ケラーニの「ナイト・ナイト」やジェネイ・アイコの「プリーズ・ドント・ゴー」など、ボーカル・パートを抑えた横ノリのナンバーもある。後者は今流行のトラップに近い曲で、ラッパーのタイ・ダラー・サインが参加した「インフィニット・ストライプス」も、それに近い。

 先行シングルの「ワイルド・ラブ」は、トークボックスが効果的にフューチャーされている80年風のエレクトロ・チューン。宙に浮くようなザ・ウィークエンドのボーカルにずっと浸っていたくなる。独特のビートを刻む、セレーナ・ゴメスとトリー・レーンズの「トラスト・ノーバディー」も、良い意味で彼ららしさが出ていなくて新鮮。

 これだけの人気シンガーが集結しただけでも、聴く価値は十分にあり、オムニバス的な感覚で聴いても面白い作品になっている。もちろん、アルバムとしてのトータル性は十分に感じられる、デビュー作に相応しい名盤。


Text: 本家 一成

◎リリース情報
『9』
カシミア・キャット
2017/4/28 RELEASE

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