2017/04/18
4月14日 KANが特別感謝活動年のケジメ公演として【Daiwa Sakura Aid presents 芸能生活29周年記念 特別感謝活動年 Final Kegimental Live【ロックンロールに拿捕(ダホ)されて】】を中野サンプラザにて開催、豪華ゲストたちと共に約4時間にわたるドタバタ音楽エンタテインメントショーを繰り広げた。
<影アナがきゃりーぱみゅぱみゅ!? 想定外の展開に観客もゲストも騒然>
この日の公演には、KANのオリジナルアルバム『6x9=53』参加ミュージシャンでもある根本要(スターダストレビュー)、佐藤竹善(SING LIKE TALKING)、塩谷哲、馬場俊英、菅原龍平、TRICERATOPSといった豪華盟友たちが集結。することは事前にアナウンスされていたものの、ここまで砕けたというか、フランクというか、フレンドリーというか、会場中のお客さんがお腹を抱えて爆笑しまくるライブになるとは、誰にも想像できなかったのではないだろうか。
予定より開場の遅れたホール内に踏み入れると、何故かSEは一貫してきゃりーぱみゅぱみゅ。そして本来は諸注意を無機質にお伝えする影アナがきゃりーぱみゅぱみゅのモノマネを繰り広げたりと、この時点で同公演がいわゆる通常営業とは異なる(KANにとっては通常営業かもしれないが)ライブになることを察することはできたが、本編の始まり。背中に羽根を生やしたKANが「愛は勝つ(Intro)~何らかのクラシック」を奏で、そのテクニカルで心地良いピアノの音色に酔いしれていると、まさかの客席から2人目のKANが登場。同じく背中に羽根を生やした姿で「オー・ルヴォワール・パリ」を歌い始め、会場は当然のことながら騒然となった。種明かしをすると、1人目のKANは塩谷哲がカツラを被って変装した姿であり、2人目のKANが本物だったのだが、彼はその説明を一切しないままに「何の変哲もないLove Song」を弾き語りで熱唱。更に何の説明もないままに馬場俊英、根本要、佐藤竹善をステージにサラッと向かい入れ「ボーイズ・オン・ザ・ラン」「今夜だけきっと」と各々の名曲を歌い上げてもらう。
<「あのオープニングは何だよ?」根本要らの指摘にも動じず爆笑の渦>
無論、各曲のパフォーマンス自体は実に感動的で申し分ないものではあったが、この観客の想像のナナメ上を行く展開、そしてゲスト陣すらも軽く戸惑う演出に対して先輩・根本要が物申す。「喋っていいか?」「はい、どうぞ」「あのオープニングは何だよ? みんな「あ、KANちゃんだ!」って思ってる中、おまえどこから出てきたよ(笑)?」「僕はあっちからですね」「あっちからじゃないよ! ここに座っていた人が君だと思うでしょ? どんなオープニングなの? あと、みんなが「KANちゃんのバラードいいね~」と思っていたら馬場くんが突然登場してきて、俺も馬場くんに引っ張られて……こんなオープニングありか? 今やったの、俺の曲だぞ?」この大御所スター2人のやり取りに会場は抱腹絶倒。この口論に塩谷哲や馬場俊英も加わり「こっちの身にもなってくださいよ! ヅラまで被ってるんですよ? めちゃプレッシャーだったんですから」「正直キツかったですよ(笑)。「何の変哲もないLove Song」にみんな「やっぱり良い曲だなぁ」ってなったと思うんですよね。でもその余韻もないままになんか分かんない奴が出てきて騒ぐみたいな、もうどうしようかと思った」
それでも「お客さんにバーンって立ってほしいじゃないですか。だけど、僕にバーンって曲そんなにないし、後半に取っておきたいんですよ! そしたら(自分以外の曲で)ピッタリの曲があったんですよ」と全く折れる様子のないKAN。これに根本が「俺たちずーっとソデで「いいのかな? いいのかな?」と思って、だから物凄いノソノソ出てきたよ(笑)」と返すと、KANは「すみません、最後の星が流れてくるタイミングがちょっと早かったですね」と「今夜だけきっと」の演出については謝罪。「(そこは)いいよ! 俺んちのコンサートじゃねぇーんだから!」とまたツッコまれ、爆笑の渦を生んでいた。
<SLT名曲全員で熱唱~トライセラ和田ギターソロ3連発~涙誘う「愛は勝つ」>
このKANとゲスト陣の抜群のチームワークは、その後もあらゆる場面で本領発揮。特に本編終盤、佐藤竹善&塩谷哲のSALT&SUGARによる「Spirit Of Love」(SING LIKE TALKING)に聴き入っていると、それぞれに個性も実力も振り切れたKAN&ゲスト陣が強烈なコーラスワークを重ねていったり、この季節にピッタリの「桜ナイトフィーバー」ではTRICERATOPSの和田唱(vo,g)が風吹くお立ち台でギターソロをばっちり決めるのだが、KANからのムチャ振りで「アルバムバージョン」「シングルバージョン」そして「ライブバージョン」と演奏をわざわざ止めてはギターソロを3パターンも全力で披露することになり、その間、林幸治(b)と吉田佳史(dr)は「バンドだろ?」とKANに凄まれ、巨大な手持ち照明とCO2砲を和田に向けて放ち続けるという大役を担当。また、そんな陽気な仲間たちの演奏&コーラスで華を添えてもらいながら「愛は勝つ」を披露する場面では、それまでのユーモラスなムードから一転、リリース当時にも劣らぬエモーショナルな声とピアノで涙を誘ってみせた。笑いあり涙あり、ドタバタコメディの様相を呈しながらもすべてが圧倒的。それを演者もスタッフも観客も誰もが心底楽しんでいる光景からは、KANの仲間やファンや音楽に対する底なしの愛情深さが見えた。とにかくすべてが面白くて温かい。
そんなKANと愉快な音楽ファミリーによるドタバタ音楽エンタメショーは、彼のビートルズに対する尋常じゃない親愛ぶりが伺える「表参道」へ。馬場俊英、SING LIKE TALKING、スターダストレビュー等の名フレーズも飛び出してくる29周年ライブバージョンを全出演者でお届けし、長くて濃厚過ぎる本編の幕を閉じた。
<コント夢伝説伝説「もうやめよう! 「アイツのせいだ」ってなるから!」>
しかし、そんな長くて濃厚過ぎる本編を上回るスペシャルイベントがアンコールに用意されていた。KANからの粋な計らいで根本要がスターダストレビューの名曲「夢伝説」を歌い出そうとするのだが、あの印象的なシンセのイントロが電圧不足(?)で歪んで止まってしまい、会場はこれまた騒然。その後も何度もKANが「スターダストレビュー「夢伝説」」とやたら男前に曲紹介するのだが、イントロどころか会場全体の電気が消えてしまい「電源? 大丈夫? こういうこともあるんですね。落ち着いて下さい」と伝説のドリフ状態になってしまったり、再度弾き始めたイントロが途中で「ドリフのズンドコ節」になってしまったり、豪華ゲスト陣が本来サビで聴かせるはずの分厚いコーラスをイントロから歌い出してしまったり、さすがの根本も「もうやめよう! どんどん帰れない人が増えていって「アイツのせいだ」ってなるから!」と制するのだが、自らも「遠い……世界に旅に出ようか♪」と五つの赤い風船の曲を「俺もボケてみたくなっちゃった」と歌い出してしまい、KANから「という訳で、今夜のゲスト! 根本要さんでしたー!」と強引に締められてしまったり(終演のアナウンスも流れ出す)とハチャメチャ!
最終的に「歌わせてくれよ~!」と根本が嘆願して「夢伝説」は無事披露されることになるのだが、デビュー35年を超える大先輩の名曲中の名曲でここまで遊んで許されるのはこのファミリーゆえ。同様のメンバーでこの先も各所で活動してほしいと思うほど、他では有り得ない全編サプライズのショーがここにはあった。そしてKAN29周年記念公演はいよいよクライマックス。笑いも涙も誘うに誘いまくってはしゃぎまくった後は、ファミリー一同の美しいアカペラで「KANのChristmas Song」をお届けした。
<君が好き すごく好き ただそれを言いたいだけの歌>
そんなとても感動的な、季節はずれのクリスマスソングを聴かせてくれた面々。バンド&ストリングスメンバー含めひとりずつ紹介しながら送り出すと、最後の最後にひとりステージに残ったKANはピアノの前に腰掛ける。そして「本当にありがとうございます。今後もどんどんどんどんまだやっていないことをやっていきたいし、とにかく応援して下さる皆さんが「この人の音楽聴いててよかった」と思う、そういう作品、そういう活動、そういう存在でずっと在り続けたいと思ってます。今後ともよろしくお願いします!」と挨拶し、弾き語りで「寝てる間のLove Song」―――君が好き すごく好き ただそれを言いたいだけの歌を届け、背中に羽根を生やしたままでKANはステージを後にするのであった。
取材&テキスト:平賀哲雄
◎ライブ【Daiwa Sakura Aid presents 芸能生活29周年記念 特別感謝活動年 Final Kegimental Live【ロックンロールに拿捕(ダホ)されて】】
2017年04月14日(金)中野サンプラザ セットリスト:
00.愛は勝つ(Intro)~何らかのクラシック
01.オー・ルヴォワール・パリ
02.何の変哲もないLove Song
03.ボーイズ・オン・ザ・ラン(馬場俊英)
04.今夜だけきっと(スターダストレビュー)
05.ポカポカの日曜日がいちばん寂しい
06.Happy Saddy Mountain(TRICERATOPS)
07.プロポーズ
08.練馬美人
09.スーパーオーディナリー(馬場俊英(Guest Vocal:佐藤竹善))
10.どんくさいほどコンサバ
11.牛乳のんでギュー
12.昔話を繙くように(スターダストレビュー)
13.Menuett fur Frau Triendl(Inst)
14.Human(SING LIKE TALKING)
15.Spirit Of Love(SING LIKE TALKING)
16.桜ナイトフィーバー
17.胸の谷間
18.Raspberry(TRICERATOPS)
19.愛は勝つ
20.小学3年生
21.ロックンロールに絆されて
22.表参道
EN1.コント夢伝説伝説~夢伝説(スターダストレビュー)
EN2.KANのChristmas Song
EN3.寝てる間のLove Song
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