2017/01/14
日本の映画界にも数多くのファンを持つ中国の鬼才ロウ・イエ監督の最新作『ブラインド・マッサージ』の公開を記念し、1月14日新宿K'scinemaに曽我部恵一が登壇しトークイベントが行れた。
中国・南京の盲人マッサージ院を舞台に巻き起こる苛烈な人間模様や、生きることの希望と絶望が描かれた本作。中国国内で20万部のベストセラーを記録した同名小説をもとにしたこの映画は、新星ホアン・シュエンや実力派俳優のチン・ハオらが出演。2014年に第64回ベルリン国際映画祭銀熊賞(芸術貢献賞)のほか、台湾の第51回金馬奨で作品賞を含む6冠を受賞、2015年にはアジア全域のアカデミー賞とも言われる第9回アジア・フィルムアワードで作品賞と撮影賞など多数受賞。視覚障がい者の視点を体感するような映像と、人間の本能をえぐるような内容が世界中で称賛を受けた。実際に視覚障がいをもつコン役のチャン・レイは、金馬奨で最優秀新人演技賞を受賞した。
今回トークイベントに登壇した曽我部恵一は、ロウ・イエ監督の大ファンを公言しており、監督の作品について「観た直後は言葉にならなくて、何日か時間をかけて咀嚼していくというか、感情を整理していくことが多い」と語り、映画『スプリング・フィーバー』に影響され曲を書いたというエピソードも披露した。劇中の音楽については、「今回もそうなのですが、いつも音楽が素晴らしいです。決してポピュラーなアーティストの曲を使っているわけではないのですが、作品に合った音楽を見つけてくるのが上手いんでしょうね。ロウ・イエ作品で流れている曲には「ここはこの曲じゃなくちゃいけないよな」と思えるような必然性があって嬉しくなります」と監督の音楽のセンスにも惚れ込んでいる様子だった。
また、『ブラインド・マッサージ』については「監督作品の中で大傑作。うん、最高傑作と言っても過言ではないですよ」と絶賛し、「(ロウ・イエ監督作品の中で)一番ずっしりくるし、辛くて痛いけれど、そこまでしてやっとあの最後のシーンにたどりつけるんだろうな」と語った。最後に自身と監督との共通点を問われると、「ロウ・イエ監督も映画を通じて“見えない何か”を掴まえようとしていると思うし、自分も音楽を通じて“見えない何か”に触れられたらいいなと思います」と感慨深く述べた。映画『ブラインド・マッサージ』は1月14日より新宿K’s cinemaほか全国順次公開中。
◎公開情報『ブラインド・マッサージ』
2017年1月14日(土)より新宿K’s cinemaほか全国順次公開中
監督:ロウ・イエ
原作:ビー・フェイユィ
作曲:ヨハン・ヨハンソン
原題:『推拿』
出演:ホアン・シュエン、チン・ハオ、グオ・シャオトン、メイ・ティン、ホアン・ルー、チャン・レイ
配給:アップリンク
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