12月18日、大阪・梅田クラブクアトロにて、【黒田卓也"Zigzagger"Guest cero】が行われた。このライブは、NYをベースに世界的活躍を続けるサムライ・トランぺッター、黒田卓也が最新作『Zigzagger』を携えた、ジャパンツアー。そしてファイナルを迎える大阪では、ゲストに昨年ビルボードライブツアーライブで共演を果たし、そこから交友を深め、同作のボーナス・トラックにも参加したceroが急遽決定していた。
そんなceroが会場を温めるようにメロウなアンサンブルで全7曲を響かせ、最後に黒田卓也(Tp)とクレイグ・ヒル(Ts)を迎え、披露したのはNYで黒田も録音に参加した「街の報せ」。ヒップホップをはじめとするブラックミュージックに影響を受けた独特のよれたビートに二人のホーンセクションが心地よく綴る。この共演はceroのファンだけでなく、黒田のファンも待望であっただろう。
緊張感もすっかりと解け、本編である黒田のステージが始まる。メンバーは、NYでいつも活動を共にしているクレイグ・ヒル、大林武史(Key)、ラシャーン・カーター(Ba)、アダム・ジャクソン(Dr)という面々。お互いを信頼しきったホーム感は、NYの空気感をそのままここ日本にも運んでくれていた。当然ながら『Zigzagger』を中心としたセットリストだが、聴き込んできた人をも圧倒させるバンド感、テナーサックスとのコンビネーション、どこまでも伸びていく音色にあっという間に引き込まれる。エフェクターを操り、違った一面を見せた「Actors」、序盤から新たな一面が垣間見れる。MCでは「(ceroと)ご縁があってこのような大変な機会をいただきまして、最高の事件が起こってしまいました。」「汗かきという持病をもってまして、それも今日は見ていただいてもらったら。終わるころには膝まで(汗が)いってるかも知れないので」と、この後に熱くなるライブを予感させながら、彼のソウルタウン関西もあって、おしゃべりは格別!これも彼のライブの魅力の一つだろう。
ライブ中盤には、「今回のアルバムはいろんなジャンルの音楽をはばなりなく詰め込んで、中でもヒップホップはかせないひとつなんです。DJプレミアなど著名人がいる中でKING OF KING ジェイディラに意識されて書いた曲です」と「No sign」を披露。変則的なリズム感覚に襲われるが、これがまさにグルーヴの真骨頂。ビート硬質だが有機的でどこかぬくもりも感じる。続けてメロウなナンバー「Little Words」では落ち着いた演奏でクールダウン。そして話題は、12月9日に放送されたNHK朝の情報番組『あさイチ』の話へ。「恥ずかしながら、NHKデビューしました!」と意気揚々に語り、『あさイチ』でも披露していた「ファンキーサンタがやって来る」とタイトルを変貌させたクリスマスソングの代名詞「サンタクロースがやって来る」をタイトルどおり黒田流のクリスマスソングを鳴り響かせてくれた。そして、「去年も今年も偉大なるアーティストたちをなくしてしまった年でした。特にショックなのがプリンスです。」とプリンスにインスピレーションされ書いたという「Thirteen」を心を込めて奏でていく。何にもとらわれない、まさに今しか聴けない音の数々に常に興奮を覚えていた。強弱はなく常に浮遊感がある「Good Day Bad Habit」ではKeyの大林の繊細な旋律が印象強く、黒田に"日本の最終兵器"と呼ばれるのも納得。多種多様な鍵盤を使いこなし様々な表情を見せてくれた。
最後はceroとバックメンバーも登場し、「Zigzagger (Rework)」が披露された。ライブでは初めての披露で、これは本当に貴重な時間であった。黒田バンドにはなかったパーカッションが加わったり、キーボード、ギターがツインとなり、さらに厚さを増す。ポップとジャズが融合され、オーディエンスも思わず踊りだしていた。彼らの交友がさらに深まった一夜となっただろう。
なお、黒田卓也は12月23日、渋谷Bunkamuraル・シネマにて『ブルーに生まれついて』のトークイベントに参加。また、大林武史(Key)が年明け1月16日にビルボードライブ大阪にてソロライブが行われる。こちらも目が離せない。
◎公演情報
【黒田卓也"Zigzagger"Guest cero】<終了>
日程:2016年12月19日(月)
会場:梅田クラブクアトロ