片渕須直監督、こうの史代原作のアニメーション映画『この世界の片隅に』の主人公すずを、女優・のんが演じることが分かった。
本作は、第二次世界大戦中の広島・呉を舞台に、戦況が悪化していく世の中で、大切なものを失いながらも日々を大切に前を向いていく女性、すずを描いたアニメーション作品。片渕監督が6年の歳月をかけ、戦中戦後の綿密なリサーチと時代考証を行い、こうの史代漫画の世界を色鮮やかに描き出した。本作でアニメ映画初主演となるのんは、片渕監督が「のんさん以外のすずさんは考えられない。」とその声に惚れ込みオファー。のんは主演決定の連絡を受けたとき、「すごく本当に、とんでもなく嬉しくて、なんか地面からふわっと浮いちゃいそうなくらい嬉しかった。」と話す。また、「私は戦争や暴力の描写が嫌いで苦手で、目を向けないで拒んでいたところがありました。(戦争は)非日常なもので別次元のものと思っていたのですが、原作を読ませていただいて、日常と隣り合わせに戦争があったのかもしれないなと感じて、今まで拒んできたものに目を向けてみようと思いました。」と、原作を読み、すずを演じてみようと思った気持ちを語った。
本映画は2015年に行われたクラウドファンディングで、日本全国からの支持を受けて製作が決定した。のんは、このことについて「観たい映画を一緒に制作していくという、応援してくださってるみなさんがこの映画を一緒に作っているというのが本当に素晴らしいことだなと思います。私もそこに参加させていただけることがすごく嬉しいです。」と、参加できた喜びをあらわした。また「普通に生活しているとか、ただ生きているっていうことが、あぁやっぱり普通っていいな、と思える映画だと思うので、そういうのを感じていただきたいなと思います。そして、是非ご家族を誘って見ていただきたい。大切な感覚を一緒に共有出来ると思うのです。」と、本作の見どころを語っている。
本編の音楽を奏でるのは、シンガー・ソング・ライターのコトリンゴ。片渕監督の前作映画『マイマイ新子と千年の魔法』で主題歌を担当した彼女が、本作では本編楽曲も担当。今回解禁された本予告では、彼女がカバーしたザ・フォーク・クルセダーズの「悲しくてやりきれない」が使用されており、作品の世界観を壮大に歌い上げている。映画は11月12日(土)より全国ロードショー。
◎コトリンゴ コメント
オファーをいただいた時は嬉しい気持ちと、片渕監督の綿密な作品作りについていけるようにと気持ちを引き締めました。原作には、とても不思議な引き込まれ方をしました。これまで読んできた戦争の時代のお話とは少し違い、その時代の普通の人々の、普通の暮らしが丁寧にかかれていて、主人公のすずさんのほんわかした雰囲気が、身近に感じられたからだと思います。そのすずさんの心情にすごく合っているからと予告編に使用してくださっていた「悲しくてやりきれない」のカバーをさらにリアレンジしてすずさんに寄り添えるように、生楽器をメインに書き直しました。
◎公開情報『この世界の片隅に』
11月12日(土)テアトル新宿、ユーロスペースほか全国ロードショー
声の出演:のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔、潘めぐみ、岩井七世、澁谷天外
監督・脚本:片渕須直
原作:こうの史代『この世界の片隅に』(双葉社刊)