2016/04/14 16:10
イタリア貴族文化の洗練に育まれた独自の美学で唯一無二の作品を遺し、映画史に燦然と輝く孤高の巨匠・ルキーノ・ヴィスコンティ。彼の生誕110年、没後40年である今年は、「4K修復版」や「デジタル修復版」として、初期、中期、後期の代表作五本がブラッシュアップされた状態でスクリーンに甦る。
厳しいネオレアリズモでも絢爛豪華なデカダンスでも貫かれた、一切の妥協を許さないヴィスコンティの本物志向。その精神は今もなお、フランシス・フォード・コッポラ、ベルナルド・ベルトルッチ、マーティン・スコセッシ、マイケル・チミノら巨匠たちに大きな影響を与えている。だが、ヴィスコンティの魅力はそうした作風だけにとどまらない。自らが制服の似合う美少年だったヴィスコンティは端正な顔立ちの俳優を好み、「監督の仕事の中で、私の情熱を掻き立てるのは、俳優との仕事である」と語る“スター主義”だった。俳優の能力を信じ、スターを愛し、新たな才能を見出すことにも優れ、キャスティングに徹底的にこだわったヴィスコンティ。撮影では納得出来るまでリハーサルを重ね、演じる者に役柄を完全に理解することを求めた。そうしたヴィスコンティの演出は物語に深みをもたらし、俳優には更なる輝きを与えることになる。
そうした数々の俳優たちの中でヴィスコンティに最も愛され、不滅の美を得ることが出来たのが、アラン・ドロンとヘルムート・バーガーだ。来月5月14日から全国で始まる特別上映は『ヴィスコンティと美しき男たち~アラン・ドロンとヘルムート・バーガー~』と題され、二人がその最も美しい一瞬を映像に刻みつけた『山猫』と『ルートヴィヒ』が上映される。
ヴィスコンティ作品の中でも抜きん出た人気を誇る『山猫』は初の4K修復版上映となるが、この修復版制作は、イタリアを代表するブランドであるGUCCIに加え、アメリカの映画監督、マーティン・スコセッシが2010年に設立したザ・フィルム・ファンデーションからの資金提供により実現。退色と損傷の激しかったフィルムを修復するのには、約1億円の費用と1万2千時間が費やされた。そして、ヨーロッパで最も美しき王の孤独と狂気を描いた『ルートヴィヒ』は、初デジタル修復版での上映となる。
また今月は、ヴィスコンティ・メモリアル・イヤーのオープニングを飾る『若者のすべて 4K 完全修復版』ジャパンプレミアが開催。劇場一般公開に先駆け、一足早くメモリアル・イヤーを祝福しての上映となる。こちらはGW開催のイタリア映画祭でも特別上映される予定だ。そして2016年冬には『イタリア・レアリズモの軌跡』(仮題)として、『若者のすべて』『揺れる大地』『郵便配達は二度ベルを鳴らす』の三作品が、すべて新素材で日本劇場初公開となる。
マーティン・スコセッシも「私たちの最高の宝物が返ってきたのだ。その完全なる美しさをまとって。」と思いを寄せる特別上映の数々。本物だけに与えられる永遠の輝きを、ぜひここで堪能して欲しい。
◎【ルキーノ・ヴィスコンティ メモリアル・イヤー in JAPAN】
『若者のすべて 4K 完全修復版』(原題:ROCCO E I SUOI FRATELL)
ジャパン・プレミア Supported by GUCCI
4月14日(木)メモリアル・イヤー オープニングイベント
『若者のすべて 4K 完全修復版』特別上映
4月末(GW)イタリア映画祭2016 にて
◎【ヴィスコンティと美しき男たち~アラン・ドロンとヘルムート・バーガー~】
※両作品ともに、新素材を日本劇場初公開
『山猫 4K 修復版』(原題:IL GATTOPARDO)
『ルートヴィヒ デジタル修復版』(原題:LUDWIG)
5月14日(土)よりYEBISU GARDEN CINEMA ほか全国順次公開
配給:クレストインターナショナル
◎【ルキーノ・ヴィスコンティ 2016年 生誕110年・没後40年 メモリアル~イタリア・レアリズモの軌跡~(仮)】
※3作品すべて、新素材を日本劇場初公開
『郵便配達は二度ベルを鳴らす デジタル修復版』 (原題:OSSESSIONE)
『揺れる大地 デジタル修復版』(原題:LA TERRA TREMA/EPISODIO DEL MARE)
『若者のすべて 4K 完全修復版』
2016年冬、新宿武蔵野館ほか全国順次公開
配給:アーク・フィルムズ
◎トレーラー
http://youtu.be/RZUVoO0P0b4
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