2016/03/23
大槻ケンヂ率いるロックバンド 特撮が、2月3日にリリースしたニューアルバム『ウインカー』の発売記念ツアーとして2月27日に大阪 umeda AKASO、翌日には名古屋CLUB QUATTROにてそれぞれ公演を行った。
超絶的なテクニックを持つ天才ピアニスト 三柴理、近年ではももいろクローバーZやBABYMETALへの楽曲提供でも話題を呼ぶ鬼才 NARASKI、VAMPSのサポートとしても活躍中のドラマー ARIMATSU。そしてサポートベーシストにOBLIVION DUSTのRIKIJIと、アルバム『ウインカー』でもおなじみの強烈な布陣による今回のツアーは、2月20日の渋谷WWW公演を皮切りに大阪、名古屋と東名阪にて開催され各地で大盛況に。
今年で結成15年というキャリアを持つ彼らだが、熟練のプレイヤーが手腕を振るいまくるそのステージは、今回のライブで中心的に演奏される『ウインカー』収録曲によってより際立ったと言えるだろう。
グルーヴィンなバラード「荒井田メルの上昇」から始まるメロウな展開から、ラウドなギターリフに会場が呼応する「音の中へ」、アニメ『監獄学園』オープニングテーマの特撮Ver「愛のプリズン」に、骨太のリフとダークな世界観で圧倒する「アリス」と、序盤はアルバム収録順に新曲を畳みかけていく。
また、アルバム『ウインカー』には他にもタイアップ曲が収録されており、そのひとつが中川翔子主演映画『ヌイグルマーZ』劇中歌「シネマタイズ(映画化)」だ。屈指のリズム隊による重低音と耳に残るギターリフ、そして三柴理による変幻自在かつ超絶プレイが次々に襲い来る激しいサウンドに、映画の監督を務めた井口昇氏が“ナイフみたいな挑発は二度と鼓膜から離れない”と評した感動的な歌詞が融合した近年の名曲である。
さらにライブで同曲に続いて披露された「七人の妖」も、CS放送ファミリー劇場『声優男子ですが・・・?』にて、7人の声優が歌唱した楽曲の特撮バージョンだ。そして中盤のヤマとなったのが、アルバム『ウインカー』収録曲の中でも強烈な存在感を示していた「人間蒸発」だ。
重ねた音数で圧倒するのではなく、轟音一発で一網打尽にしていく禍々しいサウンドは、今の若いリスナーには耳新しさすら感じるかもしれない。大槻は先日50歳というひとつ節目を迎えたが、これだけのキャリアを重ねながら特撮には、若年層のファンが多いのも特徴となっている。
アニメタイアップなどの影響もあるのだろうが、今一度井口氏の言葉を借りるなら“ションボリした大人にとって、魂の兄貴だ!”という大槻ケンヂの世界は、現代の若者にも幅広く支持されているのだ。
なお、ライブ後半は代表曲の応酬で最高潮まで達し、アンコールにも応じて「5年後の世界」「林檎もぎれビーム!」と2011年発表の傑作『5年後の世界』収録の名曲で大団円へ。ある種完璧と評しても過言ではない2時間弱のステージで、最後まで観衆を楽しませた。
撮影:杉岡祐樹
◎アルバム『ウインカー』
2016/02/03 RELEASE
[初回限定盤(CD+DVD)]
KICS-93352 3500円(税込)
[通常版(CD)]
KICS-3352 3000円(税込)
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