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2015/12/01 00:20

アンジュルム(スマイレージ)福田花音卒業……ハロプロの歴史変えた大逆転劇~それぞれの道へ「私がずっと守っていきたい」

 今から11年前にハロプロエッグの一員としてハロー!プロジェクトに加入し、6年半前にスマイレージのメンバーとしてデビュー。以降、波乱万丈なアイドル人生を送ってきた福田花音の卒業公演【アンジュルム ファーストコンサートツアー 2015秋『百花繚乱』~福田花音卒業スペシャル~】が、11月29日 日本武道館にて開催された。

<アンジュルム「大器晩成」から始まった大逆転劇>

 昨年11月26日、3期メンバー(室田瑞希、相川茉穂、佐々木莉佳子)含む9人体制でのお披露目ライブを【モーニング娘。'14 コンサートツアー秋 ~GIVE ME MORE LOVE~ 道重さゆみ卒業記念スペシャル】@横浜アリーナ(http://bit.ly/1tvFXVs)のオープニングアクトとして行い、同年12月にスマイレージ~アンジュルムへの改名を発表。メンバーもファンも不安を抱きながらの新章突入だったかもしれないが、2015年1月の【Hello!Project 2015 WINTER】年明け一発目のライブ、9人は新曲「大器晩成」の初披露でオーディエンスの度肝を抜き、リーダーの和田彩花はそれまでの不遇な時代からの「逆襲」を宣言。翌月に発表した第一弾シングル『大器晩成/乙女の逆襲』は過去最大級のヒットを記録し、その音楽性とパフォーマンスはアイドル界隈のみならず音楽シーン全体に衝撃を与える。

 その後も『七転び八起き/臥薪嘗胆/魔法使いサリー』『出すぎた杭は打たれない/ドンデンガエシ/わたし』と、耐え忍ぶ時代からの大逆転劇。すなわちスマイレージ~アンジュルムの物語、人間ドラマを徹底的にフィーチャーしたカウンターパンチ然とした楽曲ばかり畳み掛け、いよいよ「ドンデンガエシ」では「壮大などんでん返し! 圧巻のどんでん返し! 運命の大逆転劇だ!!」と大逆転劇の結実を示唆し、その物語のひとつのゴールと言える大一番【アンジュルム ファーストコンサートツアー 2015秋『百花繚乱』~福田花音卒業スペシャル~】にまで辿り着いてみせたのだが、その内容はあまりに美しくエモーショナルでドラマティック。メンバー9人はもちろん、このストーリーを共に紡いできたスタッフや作家陣含むチームアンジュルムの想いが、泣けるほど強烈に溢れ返っていた。

<福田花音、アイドル人生最後となる舞台>

 福田花音は言わずと知れたスマイレージの初期メンバー。日本レコード大賞の最優秀新人賞に輝くほどの華々しいデビューを飾るも、メンバーの卒業/加入やグループの人気ダウンなど波乱万丈なストーリーの中で悩み苦しみ、時には本気で辞める事を考えながら、それでも自らを何度も奮い立たせて、何よりも大好きなこのグループを支え続けてきた女の子。(※詳しくは、福田花音卒業インタビューにて http://bit.ly/1lPlQp9)そんなスマイレージ~アンジュルムの象徴とも言えたメンバーのアイドル人生最後となる舞台は、百花繚乱というタイトル、そして花音の名にも相応しい、プロジェクションマッピングによる桜の花びらが咲き乱れ、「百」「花」「繚」「乱」のパネルが舞い踊る実に鮮やかな演出と共にスタートした。今日までの物語の集大成に申し分ない始まり。

 そこへ艶やかな晴れ着姿で登場した9人は、いきなりハロプロ史上最速のメタルナンバー「出すぎた杭は打たれない」を全身全霊、全てを振り絞るかのようなパフォーマンスでもって披露。さらには「七転び八起き」で「底から そこから 這い上がって見せろよ!」等の攻撃的なフレーズとボーカルで観客を煽り倒していく。

<福田花音という名の歴史を残せるような最高のライブにしたい>

 「日本武道館へお集まりの皆さん! ようこそー!!」と9人全員で会場に集まった超満員のファン、スカパー!やライブビューイングで見守るファンを大歓迎し、和田彩花は「今日は花音ちゃんの卒業でもありますけど、この9人でのパフォーマンスも最後になりますので、9人の集大成を見せつけたいと思います! 皆さん、9人の個性の花が咲き乱れるこのステージ、目に焼き付けて帰って下さい!」と挨拶。室田瑞希は「百花繚乱ツアーファイナル、楽しむ準備は出来てますかー!? この会場にいる皆さん、誰一人欠けることなく最後までひとつになって楽しみたいと思います!」と迷わず言い、福田花音から「欠けるんだよ、今日(笑)」とツッコまれるも、「福田さんは欠けてしまうんですけど……」と会場中の笑いを誘う。

 また、花音も「ついにこの日がやってきてしまいました! いぇーい……いぇいなのかな?」と笑いを誘いつつ「本当に本当に最後のライブなので、ハロー!プロジェクトに、そしてアンジュルムに福田花音という名の歴史を残せるような最高のライブにしたいと思います!」と意気込んだ。

<上國料萌衣は年末より本格稼動、中西香菜/竹内朱莉はサブリーダーに>

 そして「私たち! アンジュルムです!」と天に叫べば、ライブは「新・日本のすすめ!」へ。福田花音がかつて「卒業を撤回するって早く言わなきゃ!」「この曲をライブでいっぱい歌いたいし、辞めるのはまだもったいない」と卒業する考えを改めた理由になったナンバー等、スマイレージ~アンジュルムの歴史に欠かすことのできない重要曲ばかりが終始畳み掛けられていく。

 また、この日2回目のMCでは、先日加入が発表されたばかりの新メンバー、福田花音を敬愛している上國料萌衣が登場し、ハロー!プロジェクトのカウントダウンライブからメンバーとして本格稼動していくことを発表。さらに花音が「あやちょ(和田彩花)が初期メンバー1人で残るのは大変だろうということで、なんとアンジュルムにサブリーダーを作ることになりましたぁ!」と、2期メンバーから中西香菜と竹内朱莉をサブリーダーに任命。会場中から大歓声が飛び交う中「支えてみせます!」と、大声で意気込む竹内(そして「キモい」「キモいよ」とメンバーからイジられていた)。

<1人1人とメドレー形式でデュエット、サプライズで矢島舞美登場>

 9人のメンバーが各々に全力疾走する企画VTR(走る姿だけで9人9様の個性が面白いほどよく表れていた)が流れた後は、福田花音がメンバー1人1人とメドレー形式でデュエットしていくブロックへ。まずは「わたしの横にはいつもきみ きみの横にはそう、いつもわたし 正反対だけどなぜか ぴったりくる磁石のNとSみたいだね」と、和田彩花との関係性を見事に描いてみせた「ふたりはNS」を隣り合わせで披露し、その後も田村芽実とは2人のユニット 須磨入姉妹の「すまいるブルース」、かねてよりダンスを絶賛していた竹内朱莉とは「ねぇ 先輩」、中西香菜とは彼女が大フィーチャーされた「ヤッタルチャン」等々、各メンバーの個性を見極めた選曲とパフォーマンスでもって9人との絆を表現していく。

 そんなメドレーを終え、次の曲に入るのを待っているといつまでも音が流れてこない……すると、サプライズで矢島舞美(℃-uteリーダー兼ハロー!プロジェクト5代目リーダー)が現れ、グループに先輩のいない花音の為に書いてきた労いの手紙を読み上げる。

 「花音へ。スマイレージ/アンジュルムとして6年半、ハロプロエッグから数えて11年、長い間、本当におつかれさまでした。人生の半分以上をここで過ごしてきて、普通では出来ない経験がたくさんあったと思います。私たち℃-uteからしたらスマイレージが初めての後輩グループで、可愛らしくて歌が上手い4人組の登場にとても刺激を受けました。ハロー!プロジェクトのコンサートのステージ袖からスマイレージのパフォーマンスを見て「全然音外さないねぇー」「負けてられない」と思わせてくれた存在でした。

 あれからメンバーの卒業や新メンバーの加入、グループの改名など本当にたくさんのことを乗り越えてきたと思います。端から見ても「すごく変動があった」と感じるのだから、実際のメンバーはその都度心が追いつけない想いをしていたと思います。特に初期メンバーの花音とあやちょはその全てに関わってきた訳ですが、寂しい想い、ツラい想い、不安や心配と戦いながら今のアンジュルムへと繋げてくれて、本当によく頑張ったなぁと感動しています。2人の頑張りがなかったら今のアンジュルムはなかったと思うし、ハロプロイチ賑やかなこのグループの雰囲気はどんな苦境も笑顔で乗り越えてきた2人があってこそなのかなと思います。

 花音の座右の銘にもある「人生に無駄はない」まさにその通りで、どんなに苦しい経験も、その経験が花音をきっと強くしたと思うし、順風満帆にいった人には得られないものをたくさん得てきたんだと思います。その経験があったからこそたくさんの人の支えに気付けたり、活動が出来る事への感謝を人一倍感じられるようになったんじゃないかなと思います。今後、作詞家活動をしていく中でそんな気持ちを知っていることは、花音の大きな強みになるんじゃないかな。花音がこれまでの人生に感じた事、そしてこれからの人生で感じる事を花音の言葉でどう表現していくのか。とても楽しみです。

 卒業から作詞家へと新たな道を切り開く花音の人生が、素敵なものになるようにハロー!プロジェクトメンバー、そしてハロー!プロジェクトのファンの皆さんと共にずっと応援しています。今日まで本当におつかれさまでした。そしてありがとう。ハロー!プロジェクトリーダー 矢島舞美」

 これに花音は「℃-uteさんは私がツラいときとかも楽屋に呼んで下さったりとか……はぁぁ……うわーん」と泣きじゃくりながらも、「私がツラいとき、楽屋に呼んでくれたりとか、一緒にご飯を食べてくれたりとか、お話聞いてくれたり、時にはグループのみんなをまとめてくれたりとかして下さって、本当に優しい先輩だなと思ったし、こんなに優しい先輩たちじゃなかったらここまで続けてこれなかったなって思うので、今まで本当にありがとうございました」と感謝の言葉を返した。

<8人から花音へ贈る歌「元気でね さよなら 大好きよ ありがとう」>

 突然の出来事に気持ちを激しく揺さぶられた花音だが、彩花の「花音ちゃん、大丈夫?」という声に「大丈夫です!」と笑顔で答え、作詞家デビュー作である自身のソロナンバー「わたし」をお届け。日本武道館がファンのサイリウムのよってピンク一色に染まり、そこで彼女はアイドルの限りを尽くしたパフォーマンス、「まっさらなわたしだとしても、好きになるって言って欲しい。明日からは肩書きが ちょっと変わってしまうわたしだからね。」という素直な想いを届けていく。そして彼女と入れ替わるように8人のメンバーが登場すると、この日の為に作られたのではないかと噂されていた新曲「交差点」(アルバム『大器晩成』収録)を披露。中盤でセンターステージに花音が現れ、彼女を真っ直ぐ見つめながら「新しい未来が見え始めた だけど君は別の道を選んだ もったいないけど確かに君らしいね 旅立ちの時間だ」など別れのフレーズを歌うメンバーは、室田瑞希、勝田里奈、竹内朱莉……と連鎖するように涙を堪え切れなくなる。それでも「元気でね さよなら 大好きよ ありがとう」と最後まで歌いきった8人に会場からは優しい喝采が巻き起こる。もちろん花音はポロポロ涙を流していたが「1回もここまで泣かず……」と言い、彩花から「嘘だよ!」とツッコまれ、さっきまで負けじと泣いていた後輩たちからも「泣きまろ」「泣き虫まろ」とイジられていた。

<不屈のアイドルグループが辿り着いてみせた未来>

 しかし涙を誘う新曲披露はこれだけではなかった。会場中が「ちょいカワ! ちょいカワ!」と叫びまくる「私、ちょいとカワイイ裏番長」から始まった本編最後のキラーチューンの畳み掛けの最後、これまたこの日の為に生まれたと断言できる「友よ」を披露。美しいバラード「交差点」に対してこちらは熱量の限りを尽くしたアッパーチューンなのだが、サビの「友よ 約束しよう 迷ったら ここに集合 友よ 前だけ向けよ こんなもんじゃないだろう?」と誰もが最大のエモーションで歌い上げ、それに対して花音が「ありがとう 出会ってくれたこと」と全力で返したりと、そのあまりにドラマティックな展開と爆発力、この瞬間を永遠にするべく駆け抜いていく9人の姿、そこから感じられた9人の絶対的な絆は、あれから24時間以上経った今も思い出すだけで涙が溢れる。

 福田花音の11年に及ぶアイドル人生も、スマイレージ/アンジュルムの6年半も、矢島舞美が言った通り決して順風満帆ではなく、実際にメンバーたち自ら「どん底だった」と言うほどの季節も長くあった訳だが、それらが今この光景に、この音楽に、この絆に到達する為にすべて必要なものだったとしたら、彼女たちはまさしく人生を懸けてハロー!プロジェクトの歴史を変え、感動の大逆転劇を全うし、そしてこんなにも劇的な旅立ちの舞台を完成させたことになる。彼女たちが「人生に無駄はない」をこれほどまでに見事に体現する未来がやってくると、どれだけの人が想像できていただろうか。そんな不屈のアイドルグループが本編最後に披露したのは「大器晩成」。9人が逆襲の狼煙を上げ、そして日本中のアイドル/音楽ファンを振り向かせ、この瞬間へと突き進む起爆剤となった楽曲で本編を締め括るのもまた実に痛快であった。

<「いつかアンジュルムが大ブレイクするときのヒット曲を作詞家・福田花音が書かせて頂けたら幸せだなと思います」>

 鳴り止まない「花音!」「かにょん!」コールとピンク色のサイリウムに誘われるように再登場した福田花音は、同じくピンクを基調とした、本当にシンデレラの生まれ変わりなのではないかと思わせるドレス姿で「私の心」を歌唱。ハロー!プロジェクトのアイドルが大好きで、ハロー!プロジェクトのアイドルになりたくて仕方がなかった彼女に相応しい音楽と光景が流れていく。そしてライブはいよいよ卒業セレモニーの時間へ。

 「今まで応援してくださったファンの皆さんへ。

 ハロプロエッグに加入してからの11年間、ずっと私を応援してくださった方、途中から私を応援してくださった方、途中で推し変しちゃった方、私のファンではない方、今日はいろんな人が集まってくれていると思います。芸能界のことなんて何にもわからないけど、ただただハロー!プロジェクトが大好きで、ハロー!プロジェクトのアイドルになりたくてオーディションを受けた11年前は、こんなに素敵な景色を見れる日が来るとは夢にも思いませんでした。卒業を発表してから今日までの6か月間、「不安はありません」とか「悔いはありません」と強がりをいっぱい言ってきたけれど、正直、めちゃめちゃ寂しいです。

 握手会で「今日でまろに会えるのは最後になっちゃいます」とか言われるたびに、じわじわと卒業を実感して、ひとりでジーンと来ていました。アイドルはファンの皆さんにパフォーマンスで元気を与えたり、背中を押したりするのがお仕事というか、役目だと思うけど、私にはそんなすごいことは出来ていなかったと思います。振り返ってみれば、ファンの皆さんに元気をもらったり、時には塩対応で振り回したり、「釣った魚にはエサをやらないタイプだねー」なんて言われたことがあったり、私は好き勝手やらせて頂いてきて、ある意味、ハロー!プロジェクトの歴史を変えちゃったと思いますが、とにかくこの11年間の毎日が楽しくて仕方なかったっていうことだけは、胸を張って言うことができます。

 こんなに素敵な11年間を過ごさせて下さったスタッフの皆さんにも、本当にありがとうございます。もちろん、ツラいこともいっぱいありました。私は弱みを人に見せるのが苦手なタイプで、くだらない相談はメンバーにも先輩にも「もういいよ!」ってぐらいいっぱいしてきたけど、本当の悩みは誰にも話したことがなくて、ひとりで抱えきれなくなって、急に溢れて泣き出しちゃったりしたこともあったり。特に初期メンバーの卒業、新メンバーの加入の時期は、目まぐるしく変わっていく周りの環境についていくのに必死で、勝手に孤独を感じることもありました。

 でも、そんなときに私を支えてくれていたのは、アンジュルムのメンバーです……。メンバーといるとすっごく楽しくて、小さなことでも大爆笑できて、とても居心地の良いグループだな~って心から思いました。メンバーとあまり上手くいかないとき、ぶつかり合ったとき、「もうみんなと過ごした前みたいな時間は戻ってこないのかな」ってすごく不安になったこともありました。そんな不安もすぐに消えて、またみんなといつも通り、くだらないことで大はしゃぎできたときは、内心とてもうれしかったです。

 3期メンバーとは1年ちょっとしか一緒にいられなかったけど、とても濃厚な1年間でした。3人とも妹みたいで可愛くて、めちゃくちゃパワフルで、時には厳しいことも言ったこともあったけれど、3期のみんながアンジュルムの活動を心から楽しんでくれている姿を見るたびに、私まで幸せな気持ちになりました。ありがとう。

 そして2期メンバーは、私に初めてできたグループの後輩。私を大きく変えてくれた存在でもあります。2期メンバーは入ったばかりのとき、すごく大変なことがいっぱいあったと思います。たくさん悩んでいる4人をそばで見ていたのに、何も力になれなくてごめんね。4人がいつも明るく話しかけてくれたり、3人にイジられまくるタケを見たり、4人の姿を見ているだけでこっちまで楽しい気分になりました。お客さんが全然入らなかったライブやイベント、なかなか出来なかったツアー、47都道府県ツアー、いろんなことを一緒に乗り越えていくうちにどんどん頼もしくなっていく4人は、私から見てもとっても格好良かったです。今ではすっかり3期の良いお姉さんになっていて、2期メンバーは成長したなっていつも思っています。これからは後輩のメンバーももちろんだけど、2期メンバーのことが大好きなリーダーのことも支えてあげてね。

 そしてずっと一緒に活動してきた和田彩花。あやちょのことは、正直、最初は「なんでこんなにヒョロヒョロしている頼りなさそうな娘がリーダーなんだろう」って思いました。目立ちたがり屋だった私は、目立つ仕事がいっぱいまわってくるリーダーが羨ましいなって思ったりすることもあったけど、今になってすごく分かるのが、絶対に私にはリーダーなんて務まるはずはなかったなって思います。アンジュルムのリーダーはあやちょにしか出来ないなと思います。あやちょと私は本当に磁石のNとS。真逆なんだけど、なぜか一緒にいると落ち着いたり、しっくり来たりします。一緒に過ごした11年間、本当にいろんな苦楽を共にしてきましたね。分からないことだらけのデビュー当時の思い出が、昨日のことのように鮮明に蘇ります。

 4人でスマイレージとして華々しすぎるほど華々しくデビューしたとき、まさかこの2人が最後まで残るとは思っていませんでした。そしてこんなにも波乱万丈なアイドル人生を送ることも想像できないぐらい、華やかなスタートを切らせて頂いたよね。毎日マネージャーさんに怒られてわんわん泣いていたよね。初期メンバーの2人が卒業しちゃったとき「2人でスマイレージを守っていこうね」って言った約束は果たせたんじゃないかなって私は思っています。2人でスマイレージを守り続けてきて、2期メンバーにしっかり継承できて、3期のみんなが加入して、アンジュルムとして再始動して、今とっても勢いがあるアンジュルム。このグループを去ることに寂しさはありますが、不安は全くありません!……鼻水が(笑)

 みんなならどんな困難も乗り越えられるし、なんてったってどん底を経験したメンバーが5人もいるんだから、怖いものなしで突っ走っていけると思います。これからはみんなと違う道に進んでしまうけれど、作詞家を目指すと宣言した以上は、後ろは振り返らず、しっかり前だけ見て進んでいって、いつかアンジュルムが大ブレイクするときのヒット曲を作詞家・福田花音が書かせて頂けたら幸せだなと思います。いや、絶対叶えてみせます!

 いまだに卒業の実感が全くありませんが、明日からは11年前と同じハロー!プロジェクトのファンに戻ってアンジュルムを箱推ししていこうと思います。みんな、これからも大変なことがあるだろうけど、みんならしく頑張ってね。私も頑張ります。福田花音に愛情を持って携わって下さったすべての皆さま、今まで本当に本当にありがとうございました。2015年11月29日 アンジュルム/スマイレージ初期メンバー 福田花音!」

<和田彩花「私がずっと守っていきたいなと思いますから」>

 そして彼女は「旅立ちの 春が来たけれど 大丈夫 私は負けない 心配要らないよ 大きくなってくるよ!」と、8人の大好きなメンバーたちに宣言するかのように「旅立ちの春が来た」を歌ってみせる。この曲はスマイレージ時代の楽曲ながら、まるでつんく♂がいつか旅立つメンバーの為に残しておいたのではないかと憶測してしまうほど、この日の福田花音とアンジュルムに相応し過ぎる1曲として鳴り響いていた。

 各メンバーから最後の挨拶。佐々木莉佳子や中西香菜が我慢できず泣き出してしまう場面もあったものの、田村芽実が「福田さんは最高のアイドルだなって思いました! これからもお互い恨み合えるような……? うらやま?」とテンパって「やめてよー! 怖ーい!」と花音に言われたり、竹内朱莉が「これからまろにステージ上でイジられなくなるのかと思うと、すごい悲しいなって思います」と言えば花音に「あ、そう」と冷たくあしらわれたり、中西が「私の半分は福田さんで出来てるようなもので」と言い出して花音が驚いたりと、常に笑いが絶えない時間が流れていき、オーラスに「スキちゃん」でハッピーグルーヴ全開の大団円を迎えたのだが、この日最後まで涙を流さず、隣で花音が泣き出しても笑顔で支え続けたリーダー 和田彩花の言葉でこの記事は締め括りたいと思う。

 「まずこの百花繚乱のツアーで、ずっーと夢だったホールツアーが4年ぶりに出来たり、ファイナルはこんな風に武道館でね、花音ちゃんの卒業スペシャルをやらせて頂いたり、花音ちゃんがいるうちにホールツアーできて良かったな~って本当に本当に思います。心の底から幸せだなって思いますし、嬉しいなって思いますね。

 花音ちゃんとは11年一緒にいるのでいろんな思い出がありますけど、4人のときにお仕事を脱走したり(笑)、結構悪い事してきたよね? でも脱走するときもうチキンだから途中で辞めるとか言い出したり、そういう思い出ばっかりいっぱいあって。4人で泊まったときにベッドの取り合いでケンカをしたり……幼いときから一緒だったんだなーってつくづく思うけど、6人でどん底になったときは、狭い楽屋の中でバドミントンやったんですよ。あとは窓を開けて、下にいるファンの人に聞こえるように「あぁ~!!!!!」って叫んだり、それをやってたらマネージャーさんに窓にガムテープを貼られたり(笑)、そういうのも全部全部、苦い思い出もぜんぶ甘い良い思い出になったなって思うし、花音ちゃんと一緒に過ごせて良かったなって私は思います。

 あともっと忘れられない、ちょっと恨んでる事は……(花音「何? 何?」と怯える)8年前に貸したお気に入りの赤いボールペンがまだ返ってこないんですよ! 猫ちゃんの! 猫ちゃんのやつ! 覚えてる!? あやのお気に入りだったのに返してくれないの、まだ! それ、ずっと恨んでるからね、あや。それをずっと恨み続けるから。(ここで他のメンバーもTシャツやらスパッツやら返してもらってないものを言っていく)そんな訳でいろんな思い出がありますけど、今日で卒業ですから。そんなことも今日は笑顔でね、送り出せてよかったなと思います。

 これからは9人の形が変わって、また新しい9人で活動していきますけれども、こうやってね、素敵なファンの皆さんと、そしてメンバーと、あとはとっても優しくて温かいスタッフさん、みんなで創ってきたこの空間をね、私がずっと守っていきたいなと思いますから、皆さん、これからの活動も楽しみにして頂きたいなと思います。今日は本当にありがとうございました!」

取材&テキスト:平賀哲雄
撮影:Jumpei Yamada

◎ライブ【アンジュルム ファーストコンサートツアー 2015秋『百花繚乱』~福田花音卒業スペシャル~】
11月29日(日)日本武道館 セットリスト:
01.出すぎた杭は打たれない
02.七転び八起き
03.新・日本のすすめ!
04.地球は今日も愛を育む
05.ええか!?
06.ドンデンガエシ
07.乙女の逆襲
08.寒いね。
09.プリーズ ミニスカ ポストウーマン!
10.夢見る 15歳
11.ふたりはNS(福田花音・和田彩花)
12.黄色い自転車とサンドウィッチ(福田花音・佐々木莉佳子)
13.しっかりしてよ!もう(福田花音・相川茉穂)
14.踊ろうよ(福田花音・室田瑞希)
15.すまいるブルース(福田花音・田村芽実)
16.恋人は心の応援団(福田花音・勝田里奈)
17.ねぇ 先輩(福田花音・竹内朱莉)
18.ヤッタルチャン(福田花音・中西香菜)
19.わたし(福田花音)
20.交差点
21.私、ちょいとカワイイ裏番長
22.新しい私になれ!
23.同じ時給で働く友達の美人ママ
24.有頂天LOVE
25.臥薪嘗胆
26.友よ
27.大器晩成
En1.私の心(福田花音)
En2.旅立ちの春が来た
En3.スキちゃん

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