2015/11/11
すごいシンガーが登場した。これは、エイミー・ワインハウス以来の衝撃か…。一度、その歌声を聴いたら頭から離れないインパクト、そして魂に突き刺さるパワーヴォイス。ロックも歌えばR&B、ブルースも歌う。ジャンルを超えて、どんな曲でも彼女色に染めてしまう、エル・キング。楽器も自分で熟し、弾き語りも得意とするLA出身の実力派シンガーだ。
エル・キングは、2012年にミニアルバム『ザ・エル・キング』でデビュー、インディーチャートで34位どまりと、当初は大きな成果があげられなかった。しかし、昨年末にリリースしたシングル「Ex's & Oh's」が、徐々に人気を拡大させ、TOP10入り目前(2015年11月現在)の12位まで上昇するスマッシュヒットを記録している。ロックチャートとオルタナティブチャートでは、すでにNo,1を獲得、アダルトチャートでも9位をマークした。
この曲の魅力は、ソウルとロックの境界線上にあるレトロ感たっぷりのサウンドにマッチした、エルのエモーショナルな歌声との融合だ。とても26歳とは思えない貫禄あるヴォーカルに圧倒、そして惹きこまれてゆく。歌の世界も同様に、彼女の魅力に取りつかれた男性たちへ、「私のところへ戻りたいんでしょ?」と、強く高圧的な女性像を描いている。まさにサウンドとリリックの一致、そしてエル・キングの味わい深いヴォーカルが映える1曲だ。
この曲が収録された、彼女のデビューアルバム『ラヴ・スタッフ』も、「Ex's & Oh's」のヒットを受けて、チャートを駆けあがっている。60年代ロックのカバーアートのような、モノクロの写真が印象的な本作には、今年最大のヒット曲「アップタウン・ファンク」で大ブレイクしたマーク・ロンソンや、レイチェル・プラッテンの「ファイト・ソング」をヒットに導いた、デイブ・バセット、アリシア・キーズやカニエ・ウェストといった著名シンガーを手掛けた、ジェフ・バスカー等が参加した、難易度とクオリティの高い内容に仕上がっている。
アデルの「ハロー」が、発売1週間でミリオンセール、視聴回数が3億回を突破し、首位を独走している最中に、彼女の存在は薄れてしまうのではなく、あらためて評価されるべく位置にあると思う。「アデルもいいけど、ワタシも凄いでしょ?」と言わんばかりの存在感に、リスナーは魅了されてゆくだろう。来年のグラミー賞でも、新人賞などの受賞が濃厚なエル・キング。受賞してからではなく、今から彼女のサウンドに浸かり、時代を先取りしておこう。text by 本家 一成
関連記事
最新News
アクセスランキング
インタビュー・タイムマシン
注目の画像