2015/10/26
竹内結子&橋本愛の美女競演も注目の映画『残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―』(松竹配給にて2016年1月30日より全国公開)。10月25日、第28回東京国際映画祭コンペティション部門にノミネートされ、記者会見&ワールドプレミアを実施した。
第28回東京国際映画祭コンペティション部門にノミネートされた邦画3作品のうちのひとつ『残穢【ざんえ】-住んではいけない部屋-』より、主演の竹内結子、橋本愛、そして中村義洋監督が25日、記者会見に臨んだ。中村監督はハロウィンの仮装をしている人が多い六本木の場所柄から「ハロウィンで盛り上がってる中ありがとうございます。この作品もハロウィンのような映画です。楽しんでください」とツカミの挨拶をし、竹内結子は「コンペ選出で、より多くの方に興味を持ってもらえるいいきっかけになりました」と語った。
記者会見終了後、本作のワールドプレミア上映が行われるTOHOシネマズ六本木スクリーン7に移動し、舞台挨拶を敢行。紺地に緑色の花柄ロングドレスで華やかな装いの竹内結子、黒の変形プリーツドレスでシックな橋本愛、そして中村監督が登壇し、満席の客席から大きな拍手で迎えられた。
一般の観客への初お披露目ということで緊張感を漂わせつつも、最初の挨拶で「結子ちゃん!」「愛ちゃん!」と観客からの呼びかけがあると、一気に場が和み、3人は和気あいあいとした雰囲気で、撮影秘話などを語った。上映終了後には、先の舞台挨拶で「早く皆さんの感想が聞きたい」と話していた中村監督が再度登壇し、観客からの感想/質問に真摯に耳を傾け、笑いも交えながら回答し、観客との交流を監督自身楽しんでいるようだった。
◎記者会見
MC:みなさま一言ずつご挨拶を頂きましょう。
中村監督:ハロウィンで盛り上がってる中ありがとうございます。この作品もハロウィンのような映画です。楽しんでください。
竹内結子:コンペ選出で、より多くの方に興味を持ってもらえるいいきっかけになりました。ありがとうございます!
橋本愛:今日はよろしくお願いいたします。
◎質疑応答
--中村監督、本作で竹内結子、橋本愛、お二人を演出されていかがでしたでしょうか?
中村監督:毎日キレイだなとため息つきながら2人を撮ってました。映画始まって30分ぐらいまで2人会わない設定で撮影の順番もそのままだったんです。それぞれ撮っているときでさえ、キレイだな、可愛いなと思っていましたが、その2人が重なったときの2ショットはたまらなかったです。
--竹内結子は、中村監督作品はこれで5作品目、『ゴールデンスランバー』以来5年ぶりの再タッグとなりますが、再びご一緒されていかがでしたでしょうか?
竹内結子:監督とは何作品もご一緒していて、いつも信頼を裏切られることなく幸せな時間だったのですが、今回ばかりはなんで受けちゃったんだろう?と思いました。理由は怖がりだからなんですけど(笑)最初お話いただいたときは、「中村監督の作品なら断る理由がありません、受けます」と申し上げたのですが、あとで怖い話だと聞いて「受けなきゃよかった!」と。
--橋本愛は、中村監督作品には今回が初参加されて、いかがでしょうか?
橋本愛:監督とお会いする前から『アヒルと鴨のコインロッカー』が大好きで、いつかご一緒したいと思っていました。監督も怖い映画が5年ぶりということで、いつもと違う監督の作品で、初めて参加できうれしく思います。ちなみに私は怖いのはフィクションなら平気です! 鈍感なので(笑)
--この映画祭で国内外問わず注目されるわけですが、今、海外から出演のオファーがあったら積極的に参加しますか?
竹内結子:新しいものに挑戦したいと思っていますので、とても興味あります。ただ、その前に英語を頑張って練習しないと!(笑)
橋本愛:国内外にこだわりはありません。直感でやりたいと思ったものをやりたいです。英語が下手な日本人役でぜひ!(笑)
--本作は、戦慄のリアルミステリーという新しいジャンルを打ち出していますが、映画ならではの魅力はどんなところでしょうか?
中村監督:小説の読後感をそのまま、嫌なもの読んじゃったという感触がきっちり残っています。このところハッピーエンドが多かったのですが、久しぶりの怖い映画で発見の連続でした。普通のドラマを撮ってるときより何倍も気を遣いました。普通に撮っちゃうと、コメディ寄りになっちゃうので、それを押さえつけるコントロールが必要でした。あと、最初にやったのは暗いスタッフを集めることです(笑)。
--今回、役作りのポイントはどんなところでしょうか? 役のイメージを膨らませるのは、撮影前でしょうか?それとも、現場の空気を感じながら、膨らませていくのでしょうか?
竹内結子:「私」という役は小説家で現実を追求する人間なので、怖がっていないんですよね。なので、私自身から恐怖心を取り除くのが大変でした。何も信じてない、信じてないと言い聞かせました。撮影中は、家に帰っても引きずったので、電気を煌々とつけて眠っていました。皆さん、この作品、観たら絶対後悔する・・・あ、そんなこと言っちゃダメですよね(笑)
橋本愛:久保さんという役は、物語の中の運転手の役割かなと思ってます。自分の部屋で起きている現象に対して、2時間引っ張っていくには好奇心を内在していないといけないと思いながら、途中からはその好奇心と恐怖心のバランスを意識しました。私は怖さを家に引きずることはなく、真っ暗にしないと眠れないので真っ暗にしてました(笑)
--撮影中に何か怖かったこと、心霊現象などありましたか?
中村監督:心霊現象は説明できるから心霊現象ではないんですよね。空中で女のひとがしゃべってる声を聞いちゃったスタッフが何人かいましたが、きっと説明できちゃうと思うんですよね・・・(笑)。あとタクシーのシーンで出るはずのないところに手が出てたんですよね。カメラマンしかいないはずなのに、そのカメラマンの下から手が出てるんですよ。きっと誰か下にいたんでしょうね(笑)
竹内結子:監督が稲川淳二に見えてきました。私は試写を途中でギブアップしてしまい、後半、音しか聞いてなくて、TIFF期間中に何とかして観ようと思っていたのですが、今の話を聞いてくじけました。観なくてもいいですか?(笑)
中村監督:いや、観なきゃダメでしょ! 公開もまだ先で取材も受けるんだから!(笑)
竹内結子:そうですよね、世界に向けてヘタレ具合を発信するのは嫌なので頑張ります!
--集客のために本作、どうアピールされますか?
中村監督:楽しめますよ(笑)
橋本愛:怖い話ではあるのですがミステリー色が濃く、女性2人が不可解な現象の真相を探ります。監督の作品は複雑化しているのに、キレイで観やすいです。恐怖心を煽る描写もミステリーという部分でも楽しめます。あと、結末がいじわるなんです! こんないじわるな結末は久しぶりで、ぜひみなさんに体感していただきたい。
竹内結子:まず、こんな頼もしい相棒(橋本愛)を持ててうれしいです。この作品が海外の方に観てもらえることになったのは、個人的見解ですが、この怖さを文化の違う人が見たときにどう捉えられるか? ということだと思います。現象が起こる理由、いじわるな終わり方、救いがあるのかぜひ観ていただきたいです。
◎舞台挨拶
MC:試写で拝見したときに後ろで「きゃー!怖い!」と叫んでた女性がいて、ちらっと見たら、竹内結子でした。それだけ怖がりなのに、演じるのは大丈夫でした?
竹内結子:「私」は傍観者で、怖いことを体験している立ち位置ではないのが幸いしました(笑)
MC:身近なところで怖いことが起こるというストーリーですが、実生活で支障を来すことはありましたか?
橋本愛:家に帰ってガスがつけっぱなしで怖かったことはありました。
単に消し忘れただけでやっちゃっただけですけど(笑)
MC:意外ですが、監督は東京国際映画祭のレッドカーペット初なんですよね?
中村監督:まったくの初めてで、とっても長かった(笑)。でも気持ちよかったです。
MC:部屋で聞こえる奇妙な「音」がキーワードになっている本作ですが、やはり「音」の演出ではこだわられたのでしょうか?演出でこだわったポイントがありましたら教えてください。
中村監督:企画をいただいた段階で、性格の暗いスタッフを集めました(笑)「音」はすごく考えました。ここスクリーン7は体感すごそうですね。このスクリーンの4分の1サイズで仕上げをやっていたので、相当来ると思います。自分も観たいですね。
MC:暗いスタッフに囲まれて、現場はいかがでしたか?
竹内結子:根はやさしい方ばかりでしたよ(笑)。温かく迎えてくれました。にぎやかな作品よりも低いテンションで、照明も暗く、作品に合っていたのではと思います。
MC:最後に一言、監督よりお願いします。
中村監督:こんないい天気なのに、暗いところに来てくれてありがとうございます。何も考えずに観てください。がつんと来ると思います!
◎ティーチイン<一般のお客さんからの質問>
--本作の撮影中に何か怪奇現象は起きましたか?
中村監督:僕も原作者の小野不由美さんも心霊現象否定論者なんです。ただ、クランクイン1週間ぐらいは、本作後半の竹内結子演じる「私」といっしょで首をちょっとやられてコルセットをしていました(笑)。
--廊下を這ってくる黒い影の表現にCGを使われたのはなぜですか?
中村監督:いろいろやった結果なんです。役者に特殊メイクをして撮ってもみました。でも実体だと怖くないんですよね。ラスト近くの出版社のシーンだけ本気を出していて、他のシーンはそんなに怖くないよう、差を出していたりします。
--撮影のときはお祓いなどされますか?
中村監督:どの映画でも基本的にします。ただスケジュールが合わなくて、来られない人が多く、いつもは人数少ないのですが、今回は多かったです(笑)。この作品は映画でももちろん原作でもどれだけ本当の話に思わせるか、なので、脚本を読んで皆さんそう感じたんでしょうねえ(笑)
--監督作品で竹内結子とよくご一緒されていると思いますが、竹内結子について新たな発見はありましたか?
中村監督:過去の作品でご一緒したときに、竹内結子も役作りを悩んで考えていたりするときなどちょっと不機嫌なときがあるんです。それを遠目に見ていて、ナーバスでシリアスな竹内結子をいつか出したいと思っていました。本作の竹内結子のナレーションは、クランクインの前に録っていたのですが、音が拾えるのかというぐらい声をできる限り低くしてもらいました。竹内結子も参考になったと思います。ずっと感情をおさえて、最後にぐっと恐怖心をあおるという、そこですべて決まったなと。
--原作者の小野不由美さんから、何かアドバイスがありましたか?
中村監督:僕は10年ぐらい前から怖い作品をやっていて、小野さんはもっと前からなので、あまり話し合わなくても齟齬はなかったんです。ただ、脚本の段階でいろいろ悩んでいて、最初の30分はこのエピソードだけで持つんだろうか、怖いものを早く出したほうがいいのか・・・など。お酒を飲みながら、小野さんにそれを相談したら「出ちゃったら怖くないのよね」との一言で一気にそのあとは進んだんです。ありがたかったですね。
◎映画『残穢【ざんえ】―住んではいけない部屋―』
原作:小野不由美『残穢』(新潮文庫刊) 第26回山本周五郎賞受賞
監督:中村義洋(『予告犯』『白ゆき姫殺人事件』『ゴールデンスランバー』)
脚本:鈴木謙一(『ゴールデンスランバー』「悪霊病棟」)
出演:竹内結子、橋本愛、坂口健太郎、滝藤賢一、佐々木蔵之介ほか
(C)2016「残穢-住んではいけない部屋-」製作委員会
物語:
その奇妙な「音」はただの始まりでした。
小説家である「私」のもとに、女子大生の久保さんという読者から、1通の手紙が届く。
「今住んでいる部屋で、奇妙な“音”がするんです」
好奇心を抑えられず、調査を開始する「私」と久保さん。
すると、そのマンションの過去の住人たちが、引っ越し先で、自殺や心中、殺人など、
数々の事件を引き起こしていた事実が浮かび上がる。
彼らは、なぜ、“音”のするその「部屋」ではなく、別々の「場所」で、不幸な末路をたどったのか――。
「私」と久保さんは、作家の平岡芳明(佐々木蔵之介)、心霊マニアの青年・
三澤徹夫(坂口健太郎)、そして、「私」の夫・直人(滝藤賢一)らの協力を得て、
ついに、数十年の時を経た壮大なる戦慄の真相に辿り着く。
だがそれは、さらなる事件の序章に過ぎなかった――。
すべての事件をつなぐ【穢(けが)れ】の正体とは?
予定調和を許さない驚愕のラストまで目が離せない。
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