2015/08/10 19:30
2004年に発売された一青窈の「ハナミズキ」は、2000年代で最もカラオケで歌われた歌ではないだろうか。たくさんの人から愛された曲を歌う彼女が、心に残った楽曲たちをカバーで表現し、さらに人と歌が繋がっていく。タイトルの『ヒトトウタ』はこのアルバムの本質そのものを表していると言えるだろう。
本作の1曲目は、一青にとってまさに自分と人と音楽を繋いだ曲でもある「ハナミズキ」のセルフカバー。母校で合唱する後輩の声が加わっており、そのコーラスはとても清らかでオリジナルよりもさらに<君と好きな人が 100年続きますように>というフレーズを際立たせている。そして、一青の声は以前よりさらに伸びやかで、声量や表現に関しても“包容力”が増しており、「たしかなこと」や、「Everything」のようなバラードでもその魅力は存分に発揮されている。
また、本作では、多数の豪華制作陣によって引き出された一青窈が様々な表情を覗かせている。「幸せの結末」のように明るくも切なさのある情熱的なアレンジもあれば、「ロマン」では一青の声を聴かせる為にとてもシンプルな構成になっている。武部聡志とのタッグはさすがともいえる安心感があり、そこでもやはり以前よりも歌声に深みが感じられ、このアルバムを通して今までとの一青窈との変化を楽しむことができる。お腹に命を宿して発される声には、強さや優しさ、彼女が伝えたいことが精一杯詰まっており、選曲も“家族”や“友達”に向けた、「ハナミズキ」と同じように特定の人への思いがこもった曲であるイメージが強い。本作を聴いた人が心に残った曲を、また誰かに伝えていく様子を思いながら聴くと、しっかりこのアルバムの優しさが伝わってくるのではないだろうか。
Text:神人 未稀
◎リリース情報 『ヒトトウタ』
2015/07/29 RELEASE
<初回限定盤>[CD+DVD]
UPCH-29192 4,200円(tax out)
<通常盤>[CDのみ]
UPCH-20398 3,000円(tax out)
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