2015/03/03
2014年に10周年の節目を迎えた「東京・春・音楽祭」。上野公園を彩る桜と共に春を言祝ぐこの音楽祭、今年も3月13日からの一ヶ月間、コンサートホールや美術館など様々な場所で実に多彩な時代と国々を横断する音楽を堪能できる。
聴き所の1つとなるのは、2014年の春に始まった、マレク・ヤノフスキ指揮とNHK交響楽団による『ニーベルングの指環』全曲シリーズの第2回目「ワルキューレ」だ。去年の「ラインの黄金」に引き続き、神々を統べる支配者であるヴォータン役のエギリス・シリンス、ジークムント役で聖地バイロイトをはじめ名門歌劇場で喝采を浴びているロバート・ディーン・スミスなどのアーティストインタビュー、そして「ワルキューレ講座」連載など、充実したウェブコンテンツが続々登場している。
20世紀を代表するピアノの巨匠・故スヴャトスラフ・リヒテルの生誕100年にあたる2015年。これを記念した特別なシリーズ「リヒテルに捧ぐ(生誕100年記念)」が、今年の音楽祭の目玉と言って良いだろう。リヒテルと関わりの深い演奏家によるリヒテルへ捧げる4つのコンサートの他、国内外からリヒテルに縁を持つ人たちが集いリヒテルの知られざる一面やエピソードなどを語る座談会形式のトーク・イベント、ドキュメンタリー・フィルム上映会、写真展が無料イベントとして開かれるなど、盛り沢山の内容だ。リヒテルとの思い出を語るアーティストインタビューが、オフィシャルサイトに続々と追加されているのも見逃せない。
さまざまな作曲家の“24の前奏曲”を演奏する《24の前奏曲》シリーズ全4公演も、一堂に会して聞くことはあまりない、魅力的な企画だ。長調、短調あわせて全24種類全てを使って前奏曲を書こうという試みを行ったバッハに影響を受け、多くの作曲家が前奏曲集を残したが、そのうちショスタコーヴィチ、ドビュッシー、ショパンによる「24の前奏曲」をアレクサンドル・メルニコフによる演奏で、そしてスクリャービンの「24の前奏曲」は、作曲家でありピアニストである野平一郎によって聴くことが出来る。それぞれの演奏家の楽曲への興味深い視線が、公式サイトに寄稿されている。
そして音楽祭最終日、フィナーレ公演を飾るのはベルリオーズの「レクイエム」。多くの作曲家の数多あるレクイエムの中でも、ベルリオーズのレクイエムは最もナマで聴くのが難しい作品の一つでは無いだろうか。演奏のために要する人数が全部で約400人という指定がその理由の一つだろう。大編成のオーケストラ、合唱が描き出す、この壮大でドラマティックなレクイエムは、大野和士指揮、東京都交響楽団で演奏される。公式サイトには楽曲の試聴や曲目解説、合唱から、作曲家からと多くの視点から魅力を語る、演奏に立ち会う前に知っておきたい充実のコンテンツが掲載されている。
その他知られざる作曲家を紹介する「ディスカヴァリー・シリーズ」や毎年恒例の「マラソン・コンサート」(今年のテーマは古典派と楽都ウィーン)、「歌曲シリーズ」など、多彩な演奏家による公演が満載の「東京・春・音楽祭」。公式サイトでのインタビューや解説をナビに、上野の春を存分に満喫して欲しい。text:yokano
◎公演概要【東京・春・音楽祭 −東京のオペラの森2015−】
期間:2015年3月13日(金)~ 4月12日(日)
会場:上野恩賜公園(東京)
東京文化会館、上野学園 石橋メモリアルホール、国立科学博物館、東京国立博物館、東京都美術館、国立西洋美術館、上野の森美術館/他
More info:http://www.tokyo-harusai.com
マレク・ヤノフスキ photo(C)Felix Broede
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