2015/01/30
2015年にデビュー40周年を迎えるヴァイオリニストの大谷康子が、ピアニストに名手イタマール・ゴランを迎え、R. シュトラウスのヴァイオリン・ソナタ、ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ“春”を収録、CDをリリースし好評を博している。
愛器1708年製ピエトロ・グァルネリで奏でる心に響く演奏は、聴衆に深い感銘を届けてきた。室内楽、現代音楽の分野にも力を入れ、2005 年弦楽四重奏団「クヮトロ・ピアチェーリ」に参加。その質の高い演奏は2010年度文化庁「芸術祭大賞」を受賞。TV朝日「題名のない音楽会」には330 回以上最多出演のほか、ラジオ・雑誌など多岐にわたるメディアでも活躍中の大谷康子。多忙な中、今回の収録についてのエピソードを伺うことができた。
―デビュー40周年おめでとうございます。今回収録された2曲について、デビュー当時と比べ、音楽的にどのような手応えを感じて収録されましたか。
「デビューから今までR.シュトラウスとベートーヴェンのソナタ以外の作品を演奏する数多くの機会に恵まれてきました。その積み重ねが作曲家の様式感を深く理解できることに繋がり、今こそ<誰でもない私の演奏>ができると思いました」
―今回の収録曲を選んだ、理由や思い入れを伺えますか。
「R.シュトラウスは2014年が生誕150年。芳醇な香り漂うこの曲は大好きで、いつか録音したいと思っていた曲です。王道であるベートーヴェン、特に第5番「春」は弾きこんできた思い入れのある曲です」
―ピアニストのイタマール・ゴランさんとの共演のきっかけは? また収録中のエピソードなど教えてください。
「以前からゴランさんのピアノのファンでした。東京ではじめて合わせた時から、音楽の方向性が同じだと感じ、幸せでした。今回は私のリサイタル(軽井沢大賀ホール)での演奏を聴いた録音チームから、カラヤンがベルリンフィルとの名盤を数多く録音したベルリンのイエス・キリスト教会でレコーディングしないか、という申し出を受けて実現しました。自然豊かな環境の中のごく普通の教会ですが、音の響きは素晴らしい! でも、ときたま鳥のさえずり、飛行機音、工事の音に中断されたりしました。そんな時、ゴランさんは教会の庭に寝そべって本を読んだり、私はお菓子を食べたりしてリラックス(笑)。レコーディングは順調に予定より早く進みましたが、より完成度の高い演奏をめざし繰り返し弾き続けるゴランさんの妥協しない姿に感激しました。
録音中、私が以前から続けている、被災地に音楽を届ける活動のことをゴランさんにお話ししましたら、ゴランさんも是非参加したいとおっしゃり、3月頭に東北へ向かい、2人で演奏することになりました。
大好きなヴァイオリンでたくさんの方に音楽を届けていくのが夢です。<生まれ変わってもヴァイオリニスト>でありたいと思います」
リサイタルをはじめ、ソリストとしてこれまでにスロヴァキアフィル、東京交響楽団、新日本フィル、東京フィル、日本フィル、東京シティフィル、群響、神奈川フィル、札響、名古屋フィル、大阪フィル、関西フィル、大阪響、九響などと共演。ウィーン、ローマ、ケルン、ベルリンなどでリサイタルを開き好評を得てきた大谷康子。デビュー40周年を迎え、ますます円熟の演奏を聴かせる2015年、数多くのコンサートの出演が予定されている。録音のみならず、華のある多彩なステージを聴き逃さないようにしたい。text:yokano
◎リリース情報『大谷康子 デビュー40周年記念CD』
SICC-1771 3,024円(tax in.)
収録曲:R.シュトラウス ヴァイオリン・ソナタ作品18
ベートーヴェン ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」
演奏:ヴァイオリン:大谷康子、ピアノ:イタマール・ゴラン
◎公演情報
東京交響楽団 名曲全集第107回(四大ヴァイオリン協奏曲を一挙演奏)
2015年5月10日(日)会場:ミューザ川崎
大谷康子ヴァイオリンリサイタル
2015年9月15日(火)会場:大阪いずみホール
大谷康子ヴァイオリン・リサイタル「お菓子な名曲サロン」
2015年9月23日(水・祝)会場:東京オペラシティコンサートホール
ティータイム・コンサート 大谷康子ヴァイオリン・リサイタル
2015年10月9日(金)会場:鎌倉芸術館
ジャズピアニスト山下洋輔氏とのコラボレーション・コンサート
2015年11月7日(土)会場:浜離宮朝日ホール
キエフ国立フィルハーモニー交響楽団来日公演(ソリスト出演)
2015年12月19日(土)会場:サントリーホール(他、名古屋公演)
◎大谷康子 公式サイト
http://www.yasukoohtani.com/
photo by 尾形正茂
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