2014/02/22
昨年4月に東京で開催され、大きな反響を集めた福原美穂によるフル・オーケストラ+ゴスペル・クワイアとの共演によるスペシャル・コンサート。約5年に及んだ改装を昨年に終えた大阪が誇る名門・フェスティバルホールを舞台に紡がれた音世界は、400名近くの大人数で奏でられる音楽の迫力と繊細さ、そして、ソウル~ゴスペルの生命力に満ちた歌の力とクラシックのエレガンスと荘厳さを高度に融合させた貴重なセットとなった。
メジャー・デビュー曲「CHANGE」から幕を開けたコンサートは、続く「O2(オーツー)」では冒頭からオーケストラがベートーヴェン「運命」を奏で、歌に入ってからもその旋律を巧みに含んだアレンジで聞かせるなど、この編成ならではの斬新な切り口も展開する一方で、英語詞の「On Top Of The World」では往年の洋楽ソウル歌手によるオーケストラを従えての名唱を思わせるようなエレガントな魅力があり、原曲がストリングスとピアノのみでレコーディングされた昨年発表の「Surely Someday」ではそのオーケストラとの相性の良さをフルに発揮。曲間のMCでは「フェスティバルホールは新しくなってから初めて。音がより素晴らしくなりましたね」と語った大友直人の指揮によるダイナミックな演奏を得て、福原の新旧の代表曲がスリリングかつフレッシュに新たな輝きを次々と放っていった。
20分間の休憩を挟んでの後半では、オーケストラの背後に200名以上に及ぶソウルバード・クワイアの精鋭たちが登場。クワイアとの共演で「Amazing Grace」を聞かせると、福原は「昨年の東京とは全然違う空気感」とMCでこの日のスペシャルさを伝え、オーケストラも加わってよりソウルフルかつグルーヴィーに「Waging War」、そして会場全体からの手拍子も伴ってゴスペルの名曲「Oh,Happy Day」「Joyful Joyful」へ。本編ラストは「この曲をクワイアの皆さんとやることが叶うとは」と前置きして「Love~winter song~」を重厚なコーラスを伴ったフィナーレにふさわしい歓喜的な大所帯バーションで高らかに響かせた。アンコールでは、しっとりと聞かせた「Thank You」に続き、予定していなかったダブル・アンコールとして「Love~winter song~」を再演。しかしそれでも鳴り止まない客席からの拍手に応え、最後の最後にはキャロル・キングの楽曲を弾き語りで披露した。
必要最小限のマイクのみを使い、人の手と声によって奏でられる音楽の根源的な力と温かさを改めて伝えてくれた素晴らしいコンサートだった。
TEXT:吉本秀純
◎公演情報 【billboard classics“福原美穂スペシャル・クラシックコンサート2014”】
日時:2014年2月11日(火・祝)
会場:フェスティバルホール
出演:福原美穂
指揮:大友直人
管弦楽:ビルボードクラシックスオーケストラ
合唱:ソウルバード・クワイア
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