2013/07/25
ステージへ上がるマリーナを見て、“オッ、今年はいつになく元気そうだな”、という第一印象。ステッキは持っていたようだが、スタッフに支えられるようにして出て来た年もあったのだから、否応無しに期待は高まる。そしてオープニングの「You Been Away To Long」から、それが現実のモノとなった。
振り返れば、名盤『WHO IS THIS BITCH, ANYWAY?』(75年)のリユニオン・ツアーが始まったのは、2009年のこと。その時の熱い興奮は今も忘れる事ができないが、マリーナやメンバーもシッカリ手応えを感じたのだろう。それから毎年の恒例行事となり、今回で5年連続。当然ファンの耳もそれだけ肥えて、マリーナたちへの要求も自ずと厳しいものになってくる。それでも今年のパフォーマンスには、誰もが満足したはずだ。
2曲目「Street Walking Woman」では、レコードに入っているイントロ部の寸劇を、マリーナとハーヴィー・メイスン(ds)が再現するというお馴染みの流れ。でも今回は、オーディエンスのひとりが絶妙の間で茶々を入れ、マリーナが思わずそれに反応するという楽しい場面が展開された。マリーナとデヴィッド・T.ウォーカー(g)によるお決まりの掛け合いも、今回はより一層楽し気で、お互いに乗ること乗ること…。止まらなくなったデヴィッド・T.のギター・ソロが延々続き、やんやの大喝采さえ沸き起こった。ラリー・ナッシュのフラッシーな鍵盤さばき、円熟の中にもピーンと緊張の糸を巡らせたハーヴィーとチャック・レイニーのボトムも絶好調である。とりわけ今回はマリーナが元気なこともあり、どのパートの演奏も饒舌度2~3割増(?)で響いてきた。数え切れないくらいの場数を踏んでいるメンバーでも、その日その時でフィーリングが違うから、演奏は同じではない。そうしたライヴの醍醐味がストレートに伝わってくるステージだった。
ハイライトはやはり、セット中盤に歌われた「Feel Like Makin’ Love」と、これまでにも何度か披露されているキャノンボール・アダレイの「Mercy Mercy Mercy」。さすがに5年連続となると、単なるアルバム再現だけではなく、ジャズ・スタンダードやメンバーに縁のある曲を交えるようになっているが、今ツアーではアルバム収録曲中8割がステージに掛けられる。前回ツアーでは半分以上が外からの楽曲だったから、これは興味深いところだ。メンバーたちのキャリアを考えたら、今更“原点回帰”でもないだろうが、やはりこのラインナップの拠り所が『WHO IS THIS BITCH, ANYWAY?』であることを強く感じさせられた。
元来が、“陽気で屈託の無い田舎のおばちゃん”風であるマリーナ。だが、やはりこの手練たちに支えられていると、歌っていてとても気持ちが良さそう。来年、再来年と言わず、何度でもこのドリームチームと共にBillboard Liveのステージに帰ってきて欲しいものである。
音楽ライター:金澤 寿和 / Toshikazu Kanazawa (www.lightmellow.com)
Photo by Masanori Naruse
◎公演情報
マリーナ・ショウ feat. チャック・レイニー、デヴィッド・T・ウォ-カー、ラリー・ナッシュ、ハーヴィー・メイソン
“Who Is This Bitch Anyway?” リユニオン・ツアー
日時:2013年7月22日(月)~23日(火)
会場:ビルボードライブ東京
日時:2013年7月25日
会場:ビルボードライブ大阪
More Info:http://billboard-live.com
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